以下の発言も疑問です。「蒸留水を水槽に入れ、そこに淡水魚を放すとどうなると思いますか。それまで生き生きと泳いでいた魚が死んでしまうのです(中略)水に溶け込んでいる酸素がないため窒息してしまうのです」という記述です。蒸留水でなくても溶存酸素がなければ魚は死にます。この理屈は「魚を空気中に放置すると死にます。窒息してしまうのです」と言っているのとあまり差がなく、純水が体に悪いという根拠にはなっていません。
さらに「絶食状態にあるとき、蒸留水を約1.8L飲むと死に至ると言われています」という記述も、あいまいすぎて科学的ではありません。1.8Lという数字も出所不明である上、「と言われています」という言い回しも不明瞭です。加えて「赤ちゃんの腸を元気にするには、大腸菌などの悪玉菌の力も不可欠であることは腸の研究により、明確化されています」という主張も曖昧です。
腸内細菌が免疫に多大な影響を与えているのは事実ですが、「悪玉菌があった方がいい」という出張はいささか乱暴で危険と言わざるを得ません。最近の研究で腸内細菌と免疫反応の関係は盛んに調べられています。でも、まともな論文には「ちょっと悪玉菌を入れると良い」などとは書いてありません。
さて、ねこに与える水ですが、浄水器のフィルターが清潔で定期的に交換されているものであれば、雑菌もほとんどいないでしょうから煮沸させなくても大丈夫です。むしろ、ねこ達がぺろっと舐める私たちの手の方がずっと雑菌がくっついています。
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