炎上動画で揺れる「くら寿司」、騒動以前に止まらぬ深刻な客離れ

 

なぜくら寿司は一人負け状態に陥ったのか

さて、そのくら寿司だが、目下、既存店の業績悪化が止まらない状況だ。1月の既存店売上高(速報値)は前年同月比6.1%減と大幅な減収だった。マイナスは3カ月連続となる。業界最大手の「スシロー」の7.3%増の大幅増収と比べると、くら寿司の不調のほどがよくわかるだろう。

くら寿司の不調は1月だけではない。昨年12月も不調で、大手3社(スシロー、くら寿司、かっぱ寿司)の中で唯一くら寿司だけがマイナスだった。スシローは7.9%増の大幅増収を達成し、「かっぱ寿司」は0.1%増とわずかではあるがプラスだった一方、くら寿司は0.2%減とマイナスだった。くら寿司の一人負けだ。

なぜ12月はくら寿司が一人負けだったのか。打ち出し面では特に問題がなかったように思える。同月の7~13日に、増量されたネタのすしをそろえた「圧巻の山盛りフェア」を開催した。続く14~20日には、「ずわいがに」など高級食材をそろえた「かにとのどぐろフェア」を打ち出している。21~24日には、普段の「中とろ」よりも大きい「熟成 激厚中とろ」を売り出した。また、クリスマス限定メニューを販売したりもしている。競合と比べて遜色がない打ち出しができていたといえるだろう。

打ち出し面では問題がなかった。そういったことから、くら寿司が12月に一人負けだったのは、その月だけたまたま不振だったということではなく、それよりも前から、構造的で恒常的な問題があったことにより高い競争力を発揮できなくなっていたことが大きく影響したためだと考えられる。

くら寿司の客離れは深刻だ。12月の既存店客数は0.9%減と前年を下回った。マイナスは12月まで3カ月連続となる。9月と8月はかろうじて前年を上回ったものの、7月まで13カ月連続でマイナスだった。直近通期の18年10月期は前期比2.0%減となっている。客離れが影響し、同期の既存店売上高は0.7%増と微増にとどまった。今期(19年10月期)の既存店売上高は11月、12月、1月がマイナスとなっているため、通期でマイナスとなる可能性が高まっている。

一方、スシローは好調が続いている。既存店売上高は1月まで15カ月連続で前年を上回った。今期(19年9月期)は1月まで4カ月連続で増収率が7%を超える大幅増収を達成している。直近通期の18年9月期も4.4%増と好調だった。

スシローはすしの販売を強化したほか、話題性のあるサイドメニューを投入したことが奏功した。サイドメニューの中ではスイーツが好評だったという。17年11月にスイーツ開発プロジェクト「スシローカフェ部」を発足し、スイーツメニューの強化を図った。それが実を結び、女子高生など従来取り込めていなかった客層を取り込めるようになったという。

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