すべては「教育力の低さ」に起因か
かっぱ寿司はここにきてようやく業績悪化に歯止めがかかるようになった。直近通期の18年3月期の既存店売上高は前期比1.7%減とマイナスだったものの、マイナス幅は以前と比べて縮小している。17年3月期(4.2%減)や16年3月期(4.2%減)、15年3月期(4.0%減)と比べると健闘しているといえるだろう。
そして今期(19年3月期)は前年同月を上回る月が目立っており、1月までの10つの月のうち6つの月がプラスとなっている。今期は前年超えが十分あり得る状況だ。
業績が悪化していたかっぱ寿司は16年にロゴマークを刷新するなどのイメージチェンジを図った。その後、「食べ放題」を実施したり、1皿1貫を税別50円で提供するなど、話題性のある試みを次々と打ち出していった。最近は、出遅れていたサイドメニューの強化も図っている。こういった施策が奏功し、業績が回復するようになった。
既存店業績を開示していない「はま寿司」も存在感を示している。はま寿司は18年5月から、日本各地のご当地料理を複数回にわたって提供するキャンペーン「うまいもん祭」を始めた。5月から始めた第1弾では九州のご当地料理を用意。「博多とんこつラーメン」や「長崎焼きちゃんぽん」などを販売した。その後、第2弾~第5弾を実施し、続く12月からの第6弾では北海道のご当地料理を用意し、「釧路風北海魚介の塩ラーメン」や「じゃがバター いかの塩辛のせ」などを販売した。
このように、くら寿司以外の大手回転ずしチェーンは特色のある打ち出しを継続して実施できていた。一方、くら寿司の打ち出しを見てみたが、この1年ほどは特筆できるものを見つけることができなかった。スシローとはま寿司、かっぱ寿司と比べてインパクトに欠けていた感が否めない。
こうして、スシローとはま寿司、かっぱ寿司の競争力が高まったことで、くら寿司は相対的に競争力を失ってしまった。それが一因で客離れが起きたと考えられる。12月が一人負けだったのも、それより前からの客離れが影響したと考えられる。
くら寿司は今後、挽回したいところだが、アルバイトがゴミ箱に捨てた食材の魚をまな板に戻して調理しようとする動画がネット上に流れるというショッキングな出来事が起こってしまったため、盛り返すどころか客離れが加速する可能性が高まっている。
動画投稿問題により、くら社の教育力の低さが露呈したように思える。動画投稿問題はたまたま起きたのではなく、同社の教育力の低さにより起こるべくして起きた事件といえるのではないか。また、教育力の無さを起因とするサービス品質の低下で客離れが起きた面もあるのではないか。いずれにせよ、商品開発や組織構築、従業員教育などにおいて、抜本的な改革を行う必要があるといえるだろう。
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