堀ちえみ舌がん公表の衝撃。がん罹患2人に1人時代の向き合い方

 

奇しくも堀ちえみさんが「舌がん」であることを公表しましたが、2人に1人が生涯がんになる時代です。その半数は現役世代で、40~50代が3割を占め特に男性は40代後半から急増します。

がん患者の増加を受け、国は就労支援策を2000年以降、進めていますが診断後の依願退職や解雇になった人の割合はこの10年間でほとんど変わっていません

厚労省によれば、その割合は2003年は34.7%で、2013年は34.6%。働く人の3割超が依願退職や解雇され、自営業の17%が廃業しています。国の支援策は全く効果が出ていないといっても過言ではないのです。

会社を離職せざるをえないのは、体力の低下などの身体的な要因や精神的な要因に応じた働き方の変更が難しく、仕事を続けるのが難しいという理由です(「がん罹患と就労調査(当事者編)2016」より)。

米国ではがん患者は障害者と認定され、雇用上の差別は厳しく禁じられているので、離職率は極めて低い。

その中核概念が「合理的配慮(reasonable accommodation)」。

これは「ここを配慮してくれればちゃんと働けるよ」って考え方で、例えば、企業側は「他の従業員(または顧客)からの障害に対する懸念や偏見への擁護」の改善や徹底が必要不可欠だし、従業員が医療機関などの証明をベースに、「抗がん剤治療の日は休みが必要だし、治療後3~4日は免疫力が下がるので、自宅勤務が必要」と声を上げれば、企業は便宜をはかる必要があります。

企業側にかかる負担を軽減させるために、政府は企業向けの無料コンサルティングサービスなどを積極的に進めていて、修士号や博士号を持つ障害専門のコンサルタントが、企業に出向き相談にのる。年間60回以上のセミナーや研修会の実施、電話によるコンサルティングサービスなどさまざまな方法で、国が企業をサポートしています。

人気取りだろうとなんだろうと、患者さんのためになる支援策は大歓迎です。でも、同時に「声にならない声」にもっと取り組んでほしい。

みなさんのご意見もお聞かせください。

image by: Shutterstock.com

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※『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』(2019年2月20日号)より一部抜粋

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