中国の大誤算。台湾を脅すつもりが世界を敵に回した習近平の失態

 

こうした台湾が台湾としての存在をアピールする地道な活動が国際的に認知されると同時に、正月の習近平による「台湾への武力行使も辞さない」というスピーチに危機感を覚えた欧州議会は、台湾を支援するとの内容の声明文と議員155名の署名を、蔡英文総統に渡しました。

欧州議会が台湾支持の声明文 蔡総統が感謝 今後の協力に期待

蔡政権はまたひとつ心強い後ろ盾を得たことになります。2020年の総統選挙ですが、国民党はまだ候補者を絞れていないようで、党内調整にまだ少し時間がかかりそうです。

蔡英文総統は、2018年11月の「九合一」地方選挙で惨敗した後、党主席を辞任し、支持率は10%台まで下落したことから、2020年の総統選挙はかなり厳しいとみられ、彭明敏や李遠哲ら台独派の長老たちに再出馬を止められていました。ずっと蔡英文の再出馬を支持していたのは100歳近い史明くらいでした。

しかし、正月の習近平の演説がその状況を劇的に変えました。習近平は、台湾に「一国二制度」「武力行使」を放棄しないと脅しをかけ、蔡英文はすぐさまそれに対して反論したのです。このことが蔡英文の支持率を30%台まで引き上げました。米中経済貿易戦争で追い込まれた習近平は、台湾を脅したつもりが敵に塩を送る結果となったわけです。

今回だけに限らず、中国の脅迫はたいてい逆効果を生むことが多くあります。それでも懲りないのは、中国の習性でしょう。中国が台湾に圧力をかければかけるほど、台湾住民の反発力も強くなります。この現象に最も困惑しているのは、国民党を中心とする台湾内の統一派」でしょう。国民党が、フェイクニュースまで使って選挙で大勝を果たし、民進党を退けることに成功したのに、習近平のスピーチひとつで蔡英文の人気があっという間に戻ってしまったのですから。

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