「健康とは、いかに質のよい血液を一つひとつの細胞まで運ぶことができるかによって決定される」と著者は断定する。健康な状態で生命活動を行なっていられるのは、質のよい血液が全身を巡っているからだ。現代人はあまねく未病(発病には至っていないものの健康とは言えない状況)状態だといわれている。血液検査で小さな異常が出ていれば、すでに未病を一歩超えているのだ。
中高年(40~74歳)の男性の60%、女性の45%が高血圧という調査結果もある。ただ単に血圧が高いだけなら、あまり顕著な自覚症状はない。そのため見逃され、放置されることが多く重症化させてしまう。高血圧は動脈硬化を招き、血液の質と流れを悪化させる。脳卒中や心筋梗塞などの、血管性疾患にかかりやすくなる。一方で加齢は動脈硬化を促進し、高血圧が引き起こされる。
体調が悪いのはその臓器に問題が起きているからだと考えがちだが、実際は脳の影響を受けていることが多い。脳の状態が健康そのものを支配しているのだ。最近の研究では、塩分の摂り過ぎは脳にも障害を引き起こすことがわかってきた。また、「脳のために糖分を」という、言い訳じみた言説も間違いである。
血液は筋肉によって運ばれる。心肺機能が向上することで、全身に送り出す血液量が増える。老いるほど筋肉が必要になる。そして筋肉だけは唯一、高齢になっても増やせる。著者は、年齢を重ねた人ほど運動が必要だという。一番手っ取り早く、足腰をはじめとした下半身の筋肉を鍛えられるのは、階段の上り下りである。なるほどねー。スカスカで読みやすいからお年寄り向き。
編集長 柴田忠男
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