違和感しかない。日本メディアの悪癖「実年齢」報道に潜む大問題

 

さらに言えば、現代は高齢者も活躍するという時代です。70歳現役は当たり前で、75歳まで第一線というような時代になっています。ですから、例えば「73歳だから自分は偉い」という意識も不要だし、また「73歳なのに現場でかわいそう」という視線もまた不要です。それぞれが、年齢を気にしないで淡々と持ち場をこなす時代ということです。

一部には「年齢が若い方が価値がある」という考え方もあります。一部の高齢男性が、若い女性を見る視線などにそういった価値観が残っていますが、「#MeTooの考え方からすれば、そのような発想も、もう終わりというか、許されないということにしていいと思います。

つまり、日本の社会も十分に成熟してきたのです。ですから、年齢、人種、性別などの属性をいちいち確認して「アンタと自分とどっちが目上?」などという、マウンティング合戦をやらないとダメだとか、その上下関係で「タメ口(だ、である調)」と「敬語(です、ますちょう)」を選択するというバカバカしいライフスタイルはもう完全にオワコンなのです。

そうした社会の成熟に合わせるのであれば、事件や報道の際に「年齢表示がマスト」というメディアの習慣は、もう即刻終了でいいのではないでしょうか。

image by: MAHATHIR MOHD YASIN / Shutterstock.com

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東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1~第4火曜日配信。

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