現役アナウンサーが解説。端的に表現、説明し尽くせる人の話し方

 

言葉を換えると、自分の話を「枠組み」と捉えること。テレビやラジオで言えば、番組枠ですが、私たちが普段している話も、それを枠と認識することができます。

例えば、自己紹介をする枠、質問に答える枠、説明をする枠…。この枠は、〇分で話し終える枠、こういう場、状況で話す枠、というような「性質」も伴うものです。

私のようなアナウンサーが、ある状況を2分45秒でレポートして、と依頼されて実行できるのは、「ある状況を2分45秒で」という枠をまず認識して、その枠に収まる話を考えるからなんですよね。そして、さらにその枠は、何々について話すべき枠…のように、いくつかのさらに小さな枠で細分化=コーナー分けされます。

自己紹介をする枠であれば、生い立ちを話す枠、趣味嗜好を話す枠、意気込み、抱負を語る枠…など、自己紹介という大きな枠を成立させるための、小さなコーナー枠が必要であり、それぞれの枠には、その枠のタイトル(テーマ)があるはずです。そして話全体は、そういう枠の積み重ねで構成されていく…このようなイメージです。

せっかくなので、豆の例で説明しますね。大きなザルの中に、大豆やら、小豆やら、いろいろな種類のマメ類が、たくさんごちゃ混ぜに入っているとします。これらの豆のなかで、ある用途に沿った豆を選り分けることになったとして、仕事の下手な人は、豆の入ったそのザルの中で、あっちのマメをこっちに、こっちのをあっちに移動させ、というような作業をしてしまう、とします。

いっぽう、効率のいい人はどういう仕事をするかというと、まず最初に、どういうものが、いくつ必要なのか、つまり選り分けの基準を確認しますよね。そうしたら、別に容器を用意して、その用途に沿う豆だけを取り出しては、その別容器に移し、パッケージにしておきます。

例えば、ジップロックのような小分け袋に、〇〇用のマメ…とかタイトルを付けておくでしょう。効率よくなってくると、このジップロックを、何種類か、先に用意しておくことができるようになるでしょう。でも、提出期限が違ったりするので、先に詰めるもの、後で詰めるものの優先順位を考えたり、そして、後に詰める分を先に消費しきらないように残しておいたり、するでしょう。

いずれにせよ、ひとたび、ジップロックの小分け袋=話の枠を用意してしまえば、そのあとやるべきことは、不要な豆=いまからする話に不要な情報に手を付けることなく、この小分け袋に入れるべきもの=話の要素になる情報を、自分の頭の中から拾ってくること=ファイリングに専念することができます。

だから、話自体がわかりやすく明確になりますし、話し手自身も、話す目的を達成してスッキリできる。これが、話をファイルに小分けする、「横着ファイリング話法」なんですね。(命名は私です。一般的な呼び名ではありません、念のため…)

image by: CrevisFunKey Factory, shutterstock.com

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アナウンサー歴30年、極限の環境で話し続ける著者が、実体験から会得した「話し方のコツ」を理論化。人前で話す必要がある人の「もっと〇〇したい」に、お答えしています。一般的な「話し方本」には無い情報満載。

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