増税延期の可能性も。内閣府発表「景気すでに後退入りか」の衝撃

 

一時的か構造的か

【読売】は1面中央と11面経済面の関連記事。見出しから。

1面

  • 景気「下方への局面変化」
  • 1月指数 3か月連続低下
  • 回復の認識「変わらず」 菅長官

11面

  • 景気すでに後退局面か
  • 3か月連続 指数低下
  • 確定判断 2月の指標焦点

uttiiの眼

1面は影響が大きいと判断したのか、見出しもおとなしく、「後退という表現を使っていない。反対に、11面は経済記者が遠慮なく書いていて、いきなり「景気すでに後退局面か」となっている。

中国経済の減速の影響と見る点で他紙と変わりはないが、「もっとも1月は特殊要因も重なっており、これから公表される2月以降の経済指標の内容が焦点となる」(リードより)と書いている。この「特殊事情」とは、「中華圏の春節が昨年よりも約10日早く始まり春節前に中国の工場で操業停止が増え日本からの部品の輸出が減った事情」を指している。いずれにせよ、1~3月期は減産になるとの見方が出ているという。

記事後半に、景気判断に関する手順が細かく書かれていて有用だ。

まず、内閣府が出す「景気動向指数の基調判断」は、指数の推移から機械的に決まるもので、一時的な押し下げ要因などは考慮せず、5種類(実質6種類)ある基調判断(「改善」「足踏み」「上方・下方への局面変化」「悪化」「下げ止まり」)のどれかに決まってくる。政府としての基調判断は、そこに「指標の動きの背景にある経済環境や企業の景況感を総合的に勘案して判断する」(茂木経済再生相)のだそうで、今月中に公表する3月の月齢経済報告で示される。

さらに、景気の拡大、後退局面の判断は「景気動向指数研究会」に委ねられていて、この研究会では鉱工業生産指数や小売業・卸売業の商業販売額など景気に関係の深い9つの指標(「一致指数」のことのようだ)の月ごとの動向を分析。各指標の落ち込みが「広く普及している」「深く落ち込んでいる」「一定の期間続いている」という3要件が揃った場合景気が後退していると判断することになっているという。

《読売》は、「一時的な落ちこみ」を強調しているようにも見えるが、「昨年末から景気後退が始まっていたとの結論に至る可能性」を指摘する専門家の見方(BNPパリパ証券の河野龍太郎氏)を引用したりしていて、悲観・楽観両含みで書いていると見た方がよさそうだ。

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