「終の住処」で孤独死が急増。いま復興住宅で何が起きているのか

 

ところが、復興住宅はプライベートが確保された独立した部屋。仮設が長屋スタイルだったのに対し、復興住宅は中層階のマンションスタイルです。抽選だったために、同じ地域同じ仮設の人が一緒とも限らない

その結果失われたのが「会話する機会です。

仮設住宅の時より、圧倒的に会話する機会が奪われてしまったのです。

一般的にはコミュニティの最小単位は「家族」とされていますが、私は「会話」だと考えています。

「○○さんとこの息子が、××でさ~。奥さん困ってるみたいだよ~」
「膝がここんとこ痛くて」
「▲先生とこいくと、親切に診てくれるよ」
「またお盆か~。早いね~」
「ホント早いね~。今年はダンナの三回忌だ」……etc、etc。

こういった日常のたわいもない会話は、人の生きる力を引き出す極めて大切な行為です。震災や津波、原発事故が、東北の人たちの日常の会話を奪い、さらに復興住宅のカタチが、会話する機会を著しく減らしてしまった。それが「孤独死」する人を増やしているように思えてなりません。

加えて震災から8年が経ち、70歳だった人は78歳に、75歳だった人は83歳になった。年をとってくると、昨日までできていたことができなくなったり、当然ながらモノ忘れも増えます

そんな時、「私なんてこないだ○○をわすちゃったよ~」と、愚痴を言えて、「あらあら困ったね~」と、一緒に笑い飛ばしてくれたり、一緒に困ってくれる人がいるとそれだけで、ちょっとだけ安心することもできます。

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