おにぎりセール“改悪”問題を招いたもの
深夜の人手が確保できない問題は、ITを活用した省人化である程度は解決できる。アマゾン・ゴーのようなレジ業務の自動化に加え、ローソンが開発したホットスナックをほぼ自動で調理して提供するロボット「できたてからあげクンロボ」のようなロボットの活用などで省人化が可能だ。
ただ、コンビニ業界における省人化の取り組みは実験段階のものが多い。また、アマゾン・ゴーような大規模なシステムを全店レベルで運用することは簡単なことではない。数カ月という短い期間で導入・運用することは不可能だろう。そのため、短期的に効果が得られる別の施策が必要となりそうだ。
短期的には、店舗従業員の採用をサポートする施策が欠かせない。セブンは求人の応募を一括で受け付ける専用コールセンターを設置し、加盟店の求人のサポートを行なっている。ただ、それでも十分とは言えず、抜本的な解決には至っていない。こうした状況に加え大阪のオーナーとの問題もあり、別に大胆な施策が必要だ。例えば、本部の負担で10億円くらいかけて大規模な採用を行ってもいいだろう。人手不足を解消することに加えブランドイメージの低下を防ぐためにも、これくらいの投資をしてもいいのではないか。
セブンはこのこと以外にもブランドイメージが大きく毀損しかねない問題が立て続けに起きている。
まず不適切動画問題が挙げられる。アルバイト従業員が店頭で販売しているおでんのしらたきを鍋から取り出して口に入れて吐き出すというショッキングな動画がネット上で拡散し問題となった。問題を起こしたアルバイトの責任は重いが、一方でセブンの管理不行き届きを指摘する声が少なくない。どちらにも問題があるが、いずれにせよ、この“バイト不適切動画”問題によりセブンのブランドイメージは大きく低下してしまった。
マーケティングでの不手際による問題も起きている。おにぎりセール“改悪”問題がそうだ。
セブンは3月1~16日の午前4時~午前11時に、160円未満のおにぎりを2個200円で買えるセールを実施しているが、これに対して消費者から不満の声が上がっている。
セブンは以前に「おにぎり1個100円セール」を実施している。160円未満のおにぎりが100円、160円以上200円未満のものが150円になるセールを展開してきたのだが、「おにぎり2個200円セール」は2個買わなければ割引とならず、かつ朝しか買えないため「改悪になった」と消費者が不満の意を示しているのだ。
この問題を取り上げたニュースサイト「デイリー新潮」によると、セールが改悪になったと指摘する声が少なくないという。同サイトでは「いつものおにぎり100円セールに戻せ」といった消費者の怒りの声を紹介している。一方で、セブンからの回答として「100円セールをやめたわけではなく、今回は『朝セブン』として別の企画」であることもあわせて紹介している。
なお、「朝セブン」とはセブンが17年3月から実施しているコーヒーとパンの組み合わせが午前4時~午前11時に200円になるといったキャンペーンのことで、この朝セブンに今回おにぎりを加えたというわけだ。
この意図を理解できないわけではない。しかし、一部の消費者はこれを改悪と捉え、ちょっとした騒動になってしまった。セブンの意図はどうあれ消費者がどう捉えるかが重要であり、今回のおにぎりセールの改悪はマーケティングの失敗といえるだろう。