モチヅキ氏は仲井真弘多県知事の時代から沖縄県知事が米国側の有識者として重用してきました。私も仲井真県知事が事実上の主宰者だった日米フォーラム『沖縄クエスチョン』のメンバー同士として、よく知った間柄です。しかし、研究者としては誠実な人ですが、軍事問題については基礎知識すらなく、米国政府への影響力も皆無です。
この顔ぶれを見たとき、私の頭に「新外交イニシアチブ(ND)」という組織を率いる猿田佐世さんという女性弁護士の存在が浮かびました。
この猿田さんは自分のブログに「私は本年(2018年)、鳩山由紀夫元首相や枝野幸男立憲民主党代表の訪米を企画・同行した」と記しているのですが、同じように昨年11月の玉城知事の初訪米にも同じ役割を果たしたとみられています。
そして、初訪米した玉城知事が会ったのはモチヅキ氏ら、仲井真知事、翁長知事の時代を通じて沖縄側が「米国の有識者」として頼りにしてきた顔ぶれだけだったのです。
その猿田さんのNDの評議員こそ柳澤氏、モチヅキ氏であり、関わりを持ってきたのが孫崎氏、と知れば、今回の諮問会議の顔ぶれの偏りは明らかですし、その背後に猿田さんの存在を感じないわけにはいきません。
ちなみに、NDの評議員は鳥越俊太郎(ジャーナリスト)、藤原帰一(東大教授)、マイク・モチヅキ(ジョージ・ワシントン大学教授)、山口二郎(法政大学教授)、柳澤協二(元内閣官房副長官補)、屋良朝博(元沖縄タイムス論説委員)と、リベラルというか、左派というか、そちらの方の皆さんです。
といっても、この猿田さんがいまのところ玉城知事に影響力を持っているのではなく、その背後でモチヅキさんたちに意見を求めるべきだと、玉城知事に助言した「ブレーン」がいることは知っておいたほうがよいと思います。
元琉球新報論説委員長で、現在は沖縄国際大学で教授をしている前泊博盛さんです。私も古くからの知り合いで、記者時代にはよく取材を受けたものですが、この2月7日に那覇で開かれた沖縄県民投票フォーラム(沖縄県主催)で会ったとき、私が猿田さんの名前を口に出したときだけコメントがなく、よく知っている二人の間柄だけに、かえって異様な印象を受け、玉城知事と猿田さんをつなぐ立場に前泊氏がいるのではないかと感じたものです。
設置される諮問会議が、以上のような私の印象を覆す働きを見せてくれるのか、注目したいと思います。「県外移設を提案したが、政府は一顧だにしなかった」という声が、いまから聞こえてきそうで、気になりますね。(小川和久)
image by: OIST; uploaded by Bhk354y; cropped by Garam [CC BY 2.0], via Wikimedia Commons