30代中国人エリートは1回のボーナスが1億6000万円って本当?

 

IT企業30代女性の給与が24倍になっていた

広東省の地場系のIT企業に勤務している30代後半の女性(奇しくも、同じ年齢、同じ女性でしたが)にも、お給料について話を聞いたことがありましたので、ご紹介しましょう。

この女性は、前述した女性と違い、「たたき上げ」です。

地元の高校を卒業後、広東省にある中小のIT企業に就職。そのときの最初のお給料は500元だったそうです。(18~19年前のレートがわかりませんが、おそらく1万円くらいでしょうか?)でも、その後、前述の女性と同じように、うなぎのぼりで給料が上がっていきます。

私が2年前に話を聞いたときには、お給料は1万5000元(約24万円)でした。1万円が24万円と、24倍に上がったわけです。

この女性は夫と子供がいて、夫も彼女と同じくらい稼いでいるといっていたので、2人合わせて月給は約50万円です。子どもは田舎の両親に世話してもらっていて、離れ離れということでしたが、生活費はそれほど高くないので、かなりお金は残るのではないでしょうか。

もうひとつ、ワーカーレベルのお話もしてみたいと思います。3カ月前に、上海で聞いた話です。

上海の飲食店で給仕や雑役の仕事をしている人のお給料は、どのくらいだと思いますか?

私が取材したワーカーは、お給料は5000元(約8万円)でした。

中国の内陸部から上海に「出稼ぎ」に出てきて、飲食店に就職。そこで、5000元のお給料で、社宅つきだそうです。社宅といっても、3LDKのマンションに10人くらいで共同生活をするそうなんですが、その家賃は500元(約8000円)。

通勤は徒歩だし、食事はすべて、この飲食店で支給されるそうです。ですので、お金はほとんど使いません。

その飲食店の店主いわく「5000元といえば、大卒文系の初任給に近い金額。5000元というだけでは少ないと感じる人もいるだろうが、家賃も食費もほとんどかからず、毎月、4000元(約6万4000円)くらいは貯金できる。1年で、70万円以上、貯金できるのだから、かなりいいのではないか?」とのこと。

確かに、日本でも、東京で家賃8万円のワンルームに住み、飲み歩いていたりしたら、毎月6万円も貯金はできないですね。そう考えると、上海のワーカーのほうが、日本人のOLさんよりも貯金できているかもしれません。

金銭感覚については人それぞれですが、中国人の給料は8万円~億単位まで、実に幅広く、一口にはなかなか説明できないです。

しかし、いずれにしても、中国の人件費はワーカーからハイレベル人材まで、すべて上がっています。かつて「世界の工場」といわれた中国は、人件費の安さが魅力でしたが、今では広東省の労働者でも上がってきている。そこで、多くの外資系企業はベトナムなど、東南アジアへと移転していますね。

ネパール、ミャンマーなどはまだ電力事情などが悪く、投資環境が完全に整っているわけではありませんが、中国はもはや、生産現場ではなく、消費マーケットとしての価値のほうが大きいといえるでしょう。

image by: GaudiLab, shutterstock.com

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中国や中国人といえば「怖い」「汚い」「うるさい」と思っている日本人が多いかもしれません。でも、急激な社会変化により、中国や中国人は変貌を遂げています。そんな中国、そして隣接する香港の実情は、残念ながら、ほとんど日本に伝わってきていないのが本当のところ。中国ってどんなところ?中国人ってどんな人?本場の中華料理はおいしい?そんな素朴な疑問について、エピソードを交えながら紹介していきます。

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