ある企業の経営者は、なぜ後継者候補にあえて失敗させたのか?

 

優れた施策

そして、この経営者は、次の二つの優れたことをしました。それは、

  • あえて後継者に失敗をさせる
  • 経営者教育をしっかりと行う

ということです。

「あえて失敗をさせる」というのは、後継者に失敗にたいする心構えを持ってもらうことにあるのでしょう。この経営者は、引き継いだ後に致命的な失敗をさせないことが目的だと言います。

その方法はこうです。後継者が何か新しい試みを提案してきたとします。経営者の判断では「成功しないだろう」と思われる案件です。それを、あえて実行させます。しばらく思い通りにさせておくと、案の定経過が思わしくありません。もうこれ以上進めると危険だという時点でその案件を中止します。

結果的に会社には損害をもたらしますが、後継者にとっては良い経験です。この経験が、次の経営に役立ちます。

そして、もう一つが「経営者教育」です。これは、月に2回各2時間ほど経営者研修を行っているとのこと。経営計画の策定法、管理会計の実行法、月次決算の仕方、経営分析の手法、金融機関や会計士との付き合い方など実務に必要なことを学びます。外部からの講師を招くこともあるそうです。

こうした知識は、雇用者でいるときにはなかなか身につきません。経営者になる前に、学ばせようということです。

この経営者の姿勢は素晴らしいと思いませんか。きっとこの会社は立派な事業承継ができることでしょう。本来ならば、肉親同士で事業承継をする場合にもこれくらいの準備はしておくと良いですね。

■今日のツボ■

  • 中小企業が社員に経営を引き継ぐのは難しい
  • うまく引き継ぐにはそれなりの準備が必要である
  • 引き継ぐ内容を明確にし、事前に経営者教育をする

image by: Shutterstock.com

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ワン・トゥー・ワンコンサルティング代表。スポーツ用品業界での経験と知識を生かし、業界に特化したコンサルティング活動を続ける。
スポーツ用品業界在籍33年の経営コンサルタントが、スポーツショップの業績向上法について熱く語ります。スポーツショップのために書かれた、日本初のメルマガです。ここには、あなたのお店がかかえている問題を解決するヒントがいっぱいです。

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【著者】 梅本泰則 【発行周期】 週刊

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