ところで、レジレスか現金払いかについては賛否両論でており、クレジット・カードを持てない人を差別していることが強調されて報じられているが、あまりそういった主張ばかりに気をとられると本質を見失うのではないかなと感じている。 政府機関としては人々の平等を維持するために規制する動きがあるのは当然だ。
ご参考: ● フィラデルフィアでは「現金お断り」すると条例違反!
事業者側の視点としては、現金を取り扱うことで生じる様々なコストや手間が増えるという悩みはある。カード支払い以外の客を受け付けないというある意味、機会損失があっても良いと選択するほど現金取り扱いの手間やそこに費やす人材や人件費は大きい。だから、事業者の立場としては、カード支払いオンリーのほうが様々なリクスを軽減できるから画期的な方法と感じる。
でも、消費者の立場で実際にAmazon Goを利用すると、平等かそうでないかの問題以前に、アプリでしか支払うことができないのは意外と不便なのだ。
常に、アプリを入れたスマホを持っていないといけない。でも、スマホも何も持たずにクレジットカード1枚でとか、現金20ドルだけ持ってとか、アップルウォッチのアップルペイで支払いたい、とか思うときだってある。しかも、その方が身軽だ。
でも、Amazon Goではアプリでしか支払うことができないので、それができない。便利を追求したのに、逆に不便な状況とも言えるのである。
今回、現金払いも受け付けるようになったのは、カード支払いができない人にとっては平等になったが、カード支払いできる多くの人たちにとっても支払い方法の選択肢が増えたので、より便利になったのではないだろうか。
この点では実は、カードやSuica、現金など様々な支払い方法が用意されている日本の多くの小売店のほうがずっと便利であると言えるかもしれない。
おそらく現時点では、Amazon Goではアプリでの一括管理しか技術的に難しいということなのだろう。将来的には別の方法で様々な支払いに対応できるようになると良いのではと思うが、今後どのように支払い方法が発展していくのか非常に興味深いところである。
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