中国共産党政権がなぜ「精日」という言葉を忌み嫌い「中国人のクズ」とまでいうのか。それは、彼らの「日本精神」とも通ずる日本的価値観への支持が、政権の愛国イデオロギーや、自らの統治を正当化する歴史観の否定につながるからだ。一方で、「精日」という言葉は政権側の自作自演だという説もある。
共産党を批判する「精日」の一人は、「南京大虐殺」は虚構であると明言する。なぜ1990年代になってから、中国はこんなことを言い出したのか。天安門事件以降、共産党のイデオロギーは事実上破綻したからだ。そこで江沢民は民族主義を使って国民の凝集力を高めようと、本多勝一が言い出した「南京大虐殺」という新ネタを使い出した。それまで誰も知らなかったのは、創作だからだ。
ネットでは「精日」の他、「精美(アメリカ)」「精俄(ロシア)」などがあるが、韓国人は嫌われていて「精韓」はない。日本は中国人が憧れる「西側の普遍的民主主義社会の価値観」「中国と比較的近い生活様式」「東アジアの中産階級が喜ぶ文化・娯楽環境」の三つを備えた国だという、20代の「精日」の意見がある。このような見解を持つ中国人は、決して少なくはない。
「政治制度の違いは別として、ゴミの分別、環境保護、社会治安、人と人との関係など、最も基本的な社会のレベルから見ても、中国が日本の現在のガバナンスの程度に達するには100年で充分かどうか疑わしい」という「精日」がいる。20代の若者と、60代の知識人が日本について同じような見解を示していることに著者は驚く。中国人の帰属意識に大きな変化があることは事実らしい。
わが家から自転車で5分、三井ショッピングパークに行くと中国人女性が少なくない。見かけは日本人と変わらないが、常に陽気な数人連れで、声が異様に大きいから目立つ。とにかくうるさい。でもなんとなくふにゃふにゃな中国語は、いつも喧嘩腰のような韓国語より抵抗感が少なくて我慢できる。
編集長 柴田忠男
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