元国税が暴く「ヨーロッパに比べ日本の消費税はまだ安い」の大嘘

 

欧米の先進国では、片親の家庭が、現金給付、食費補助、住宅給付、健康保険給付、給食給付などを受けられる制度が普通にあります。また失業者のいる家庭には、失業扶助制度というものがあり、失業保険が切れた人や、失業保険に加入していなかった人の生活費が補助されるのです。この制度は、イギリス、フランス、ドイツ、スペイン、スウェーデンなどが採用しています。

たとえばドイツでは、失業手当と生活保護が連動しており、失業手当をもらえる期間は最長18か月だけれど、もしそれでも職が見つからなければ、社会扶助(生活保護のようなもの)が受けられるようになっているのです。

他の先進諸国でも、失業手当の支給が切れてもなお職が得られない者は、失業手当とは切り離した政府からの給付が受けられるような制度を持っています。

また貧困老人に対するケアも充実しています。たとえばドイツでは年金額が低い(もしくはもらえない)老人に対しては、社会扶助という形でケアされることになっています。

フランスでも、年金がもらえないような高齢者には、平均賃金の3割の所得を保障する制度があり、イギリスにも同様の制度があります。

さらに住宅支援も充実しています。フランスでは全世帯の23%が国から住宅の補助を受けています。その額は、1兆8千億円です。またイギリスでも全世帯の18%が住宅補助を受けています。その額、2兆6千億円です。 日本では、住宅支援は公営住宅くらいしかなく、その数も全世帯の4%に過ぎません。支出される国の費用は、わずか2000~3000億円程度です。先進諸国の1~2割に過ぎないのです。

またヨーロッパ諸国では、軽減税率も細やかな配慮があります。日本でも、今回2019年10月の増税からは、軽減税率が適用されることになっています。が、軽減税率と言っても8%に据え置かれるだけですから、たった2%の軽減しかないのです。

一方、イギリス、フランスなどでは、軽減税率が細かく設定され、食料品や生活必需品は極端に税率が低いなどの配慮がされています。イギリス、フランスの付加価値税の軽減税率は次の通りです。

●イギリスの付加価値税の税率
・標準税率20%
・軽減税率5%  家庭用燃料・電力の供給、高齢者・低所得者を対象とした暖房設備防犯用品等、チャイルドシート、避妊用品など
・軽減税率0% 食料品(贅沢品以外)、上下水道、出版物(書籍・新聞・雑誌)、運賃、処方に基づく医薬品、医療用品、 子ども用の衣料・靴、女性用衛生用品など  

●フランスの付加価値税の税率
・標準税率20%
・軽減税率10% 惣菜、レストランの食事、宿泊費、旅費、博物館などの入場料
・軽減税率5.5% 水、非アルコール飲料、食品(菓子、チョコレート、マーガリン、キャビアを除く)、書籍、演劇やコンサート料金、映画館入場料
・軽減税率2.1% 演劇やコンサートの初演(140回目まで)、処方のある医薬品、雑誌や新聞
・非課税  医療、学校教育、印紙や郵便切手

このように、ヨーロッパ諸国は低所得者に手厚い配慮をした上での「高い消費税」なのです。が、日本では低所得者の配慮などほとんど行わないまま、消費税だけをガンガン上げていこうとしているのです。 最近、国際機関から「日本の貧困率、貧富の格差は先進国で最悪のレベル」という発表が時々されます。それは、こういう日本の政治のお粗末さが数としてはっきり表れているのです。

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