「日本と中国どっちが大事?」の問いにロシア人が語る戦略的回答

 

ロシアは、米中戦争で、中国側につく

こんな背景を踏まえたうえで。6月5日習近平とプーチンがモスクワで会談しました。

中ロ首脳が会談、対米で共闘確認 大阪G20へイラン情勢など協議
6/5(水)21:28配信

 

【モスクワ共同】中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大統領は5日、モスクワで会談した。イランや北朝鮮情勢を巡り意見交換。中国、ロシアともイラン核合意から離脱して制裁を発動した米国を批判しており、20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)を今月末に控え、対米方針で共闘を確認する。

 

プーチン氏は「両国関係は前例のない水準に達した」と強調。習氏は「国際課題への中ロの提案をさらに増やしていく」と述べ、連携強化を訴えた。

対米方針で共闘を確認する」。

まさに、これですね。仲の悪かった中ロがひっついた。その理由は、「アメリカが中ロ共通の脅威だから」です。それで私は昔、「アメリカは幕府、外交上手な中国は薩摩藩、過激なロシアは長州」という話をしていました。そして、「中国ロシア同盟」が成立した時、「これは悪の薩長同盟だ」と書いたものです。

2018年米中戦争がはじまりました。中国はロシアを取り込んでアメリカと戦います。一方のアメリカ。ルトワックさんやミアシャイマーさんのような賢人たちは、「ロシアを取り込んで中国に対峙せよ」とアドバイスする。しかしアメリカは、親ロシアのトランプと反ロシアの議会が対立し、ロシアを懐柔できない状態にある。

ルトワックさんは名著『自滅する中国』の中で、日本がアメリカとロシアの仲介をするようにアドバイスしています。しかし安倍総理は、「任期中に島を取り戻す」というとても重要ではありますが、「戦術的課題に固執して日ロ関係を悪化させている。

常識的に考えてみてください。アメリカは、中国とロシア両方を敵にまわして勝てますか?アメリカは、今よりもっと強大だった70年代ですら、「中ソと同時に戦うのは無理だ」と知って、中国を取り込むことにした。その前アメリカは、ナチスドイツに勝つために、悪のスターリン・ソ連と組んでいます。

残念ながら今のアメリカは、まったく「戦略的とはいえません。欧州とケンカし、イランとケンカし、ロシアとケンカし、中国とケンカしている。

アメリカが米中戦争に勝ちたければ、欧州と和解し、イランと和解し、ロシアと和解し、中国と対峙しなければならない。

簡単な話です。欧州と貿易戦争などしなければいいイラン核合意にとどまればいい(IAEAは、「イランは核合意を守っている」と報告している)。「ウクライナとジョージアは、NATOに加盟させない」といってロシアとディールすればいい。ところがトランプさんは戦略下手」なので、日本以外のすべての国とケンカして、孤立の道を進んでいます。

私は、もちろん「米中戦争でアメリカが勝利すること」を願っています。そして、「勝利すると予測しています。しかし、もう少しスマートな大統領であれば、「楽勝」なのにとも思います。ところが、「スマートな大統領」がいないのですね。民主党の最有力候補が親中の老バイデンさんとは…。トランプさんの方がまだマシに見えてしまいます。

いろいろ話しましたが、私は何がいいたいのか?

「ロシアは、中国を嫌っている。中国とロシアが組むことなどありえない!」という日本で一般化されている説は、【大いなる勘違い】です。

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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