つまるところ、“日本株式会社”が求めるのは「自分たちの要求にノーと言わない」社員であり、24時間365日バリバリ元気で、丈夫に働ける社員です。どんなに能力やスキルが高くても、体を壊したり家族に変化があった途端、戦力外にさせられるのです。
マッチョな働き方を基準にする限り“脱落者”は量産され、その“脱落者”に社会が注ぐ冷ややかなまなざしが、再び一歩前に踏み出そうとする力を奪います。
社会の懐の狭さと冷たさが、社会的に孤立する親子を量産させている。そういっても過言ではありません。
奇しくも数ヶ月前、「中高年ひきこもり61万人」という内閣府の調査結果が話題になりました。
61万人という数字の推計結果にはさまざまな異論もあります。
ただ、人手不足といいながら、「働き盛り」がひきこもっていることの経済的損失は計り知れません。
私は今回の話題の引き金になった二つの事件で、「働いて賃金を得る」という行為が人が生きるためにも、社会に居場所を得るためにも、社会との接点を持つためにも、とても大切な行為であると痛感しました。
パソコンを利用した仕事など、自宅でもできる仕事を国が率先して発注する。非正規雇用の賃金を正社員以上にする。
そういった手立ても8050問題解決策の糸口になるのではないでしょうか。
みなさまのご意見をお聞かせください。
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※本記事は有料メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』2019年6月12日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。
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- 「無差別殺傷事犯に関する研究」より/オレにも言わせろ! ほか(5/29)
- 「認知症」差別への懸念/「他人の足をひっぱる男たち」(25) ほか(5/22)
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※『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』(2019年6月12日号)より一部抜粋