沖縄の米軍基地問題の議論を深めてもらおうと全国を巡る沖縄県の「トークキャラバン」が6月11日にスタートしましたが、新聞各紙がこぞって報じる、ということにはなりませんでした。これを問題視するのは、メルマガ『NEWSを疑え!』の著者で軍事アナリストの小川和久さんです。小川さんは、キャラバン初日の8日前になって登壇を打診されたそうで、その準備のお粗末さを指摘。これでは、全国行脚は沖縄県民向けの「アリバイ工作」との印象を与えると厳しく指摘しています。
沖縄県の「トークキャラバン」
気になってならないので、ここに書いておきたいと思います。沖縄県の玉城デニー知事が始めた「トークキャラバン」のことです。
「『沖縄の民意』を踏まえて米軍基地問題の議論を深めてもらおうと、沖縄県の玉城デニー知事が11日、全国を巡る『トークキャラバン』をスタートさせた。米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設をめぐっては、2月の県民投票で『反対』が7割以上を占めたが、政府は埋め立て工事を強行している。本土の世論を喚起することで、局面の打開を図りたい考えだ。
初日となった11日は、東京都内で安全保障の専門家らを交え、『沖縄の声を聞き、皆で考えてみませんか?』などと題したシンポジウムを開催した。米国でロビー活動を実践するシンクタンク『新外交イニシアティブ』が事務局を担う。来春にかけて、各地の都市部を中心に講演やシンポジウムを開いていく予定だ。(後略)」(12日付朝日新聞)
これが全国紙で最も大きな扱いです。読売新聞には出ていませんでした。あとは東京新聞と沖縄の2紙、そして共同通信の配信記事を載せた地方紙などが伝えていただけです。 この「トークキャラバン」のシンポジウムには次の皆さんが顔を揃えました。
基調講演
- 玉城デニー氏(沖縄県知事)
- グレゴリー・カラツキー氏(米シンクタンク「憂慮する科学者同盟(UCS)」上級アナリスト)
- 前泊博盛氏(沖縄国際大学・大学院教授/元琉球新報論説委員長)
- 半田滋氏(東京新聞論説委員兼編集委員)
- 元山仁士郎氏(県民投票条例制定請求者)
司会・コーディネーター
- 猿田佐世氏(新外交イニシアティブ(ND)代表/弁護士(日本・ニューヨーク州))
先の朝日新聞の記事では、「安全保障の専門家らを交え」と書いてあるにもかかわらず、安全保障問題についてのパネリストの発言はまったく紹介されず、県民投票条例制定請求者の元山さんのコメントだけが載っていました。
実は、私のところにも登壇してほしいと打診があったのですが、わずか8日前のこと。日程の関係で出席することができず、お断りしました。
しかし、アメリカからの登壇者などは、かなり前から声をかけておかなければ、来日は無理だったでしょう。そんな準備をしておきながら、直前になって私に声をかけるというのは、上記の皆さんではインパクトがないと考えたからでしょうか、あるいは、辺野古案に反対している私を登壇させて、「小川でさえ反対している」とアピールしたかったのかも知れません。