2002年に、ムーディーズ、スタンダード&プアーズ、フィッチ・レーティングスといった格付け会社が日本国債の格付けを引き下げたさい、財務省は各社に以下のような文面の抗議文を送りつけた。
貴社による日本国債の格付けについては…既に低過ぎ、更なる格下げは根拠を欠くと考えている。…貴社の考え方を具体的・定量的に明らかにされたい。
- 日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。デフォルトとして如何なる事態を想定しているのか。
(財務省ホームページより)
これが財務省の本当の認識である。日本、アメリカなどの自国通貨建て国債については、利払い、償還が不可能となることなどありえない。円や米ドルを中央銀行が発行すればいいだけのことだ。
平成30年12月末における国債保有者の内訳をみると、日銀が46.0%と半数近くを
占め、国内の銀行等が16.9%、生損保等が20.4%、あとは年金や年金基金、家計と続く。海外の保有はわずか6.4%だ。
政府が55%を出資しているいわば子会社の日銀が国の借金の半分近い債権を握っているのだから、返済の心配をすることはないという考え方もある。
一方、財務省は、相手がどこであろうと借りたものは返すべき、財政規律を守るのが自分たちの使命と信じているようだが、時勢に合った柔軟な考え方も必要ではないか。
筆者の個人的意見としては、消費税増税の中止か減税による個人消費の活発化を望みたい。消費が伸びてGDPが成長し、結果として、税収も増えるのが理想的だ。
だが安倍首相も結局のところ、財務省的なくびきから逃れることのできない一人らしく、自民党内の反対論に耳を貸さず、粛々と消費増税を実行するようだ。
衆参同日選は見送られ、7月21日投開票の参院選だけが行なわれることになった。「不安だけを煽る」と野党を批判し、「新しい時代への改革」を安倍首相は声高に訴えるが、デフレ下に、消費を冷やす増税策を打つことで、新しい未来が開けるはずがない。参院選で有権者はどう審判を下すだろうか。
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