返礼品を巡って侃々諤々の議論が巻き起こったふるさと納税ですが、ここに来てある意味「理想の返礼品」が登場し話題となっています。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』でマンション管理士の廣田信子さんが紹介しているのは、兵庫県加古川市が取り扱いを開始した「空き家管理サービス」。その内容は、まさに「本来のふるさと納税の趣旨」に合致するものでした。
こんな「ふるさと納税返礼品」はいい
こんにちは!廣田信子です。
ふるさと納税の返礼品競争には、一定の規制ができた後も、本来の趣旨からすると、何かおかしいなと感じるものがありました。水産品や農産品がなく返礼品に特徴がない都市部の自治体は、税収が減っていて、住民サービスにも影響が出ないか気になります。
そんな中、こんな返礼品はいいな…と思ったものがあります。加古川市の返礼品です。
加古川市は、ふるさと納税の返礼品として市内の不動産会社が提供する「空き家管理サービス」の取り扱いを今春から始めました。実家が空き家になっているけど、帰京が難しい市の出身者の利用を見込んでいて、地域の課題となっている空き家の適正管理を目指すものです。長期出張や急な転勤、両親の介護施設に入居中の実家などにも対応できます。
「空き家管理サービス」は市内の不動産会社が提供し、「戸建て向け」と「マンション向け」があります。「戸建て向け」の寄付金額は、3カ月で3万円~12万円、1年間で12万円~48万円。「マンション向け」の寄付金額は、3ヶ月で4万円、1年間で16万円となっています。
「戸建て向け」には4種類のコースがあり最も充実したプレミアムコースは、空き家に月2回訪問して、施錠確認、庭木の確認、郵便受けの確認、全室の換気、雨漏りやカビを確認、野外の簡単な清掃、通水確認等を実施するといいます。どのコースも、管理リポートを依頼者に郵送します。
他に、寄付金額10,000円で、シルバー人材センターが屋外から目視点検し、玄関周りの掃除を行い、写真付きの作業報告書を送る一回限りのサービスもあります。
家は放置していて、荒れてしまうと、さらに足が遠のきます。もう見るのも怖いから忘れてしまいたいと…。このサービスは、空き家の荒廃を未然に防ぎ、それが税収確保に繋がるという、とてもいいアイディアだと思います。
家を相続しても、そのままになっていて、管理が行き届かなくなる空室がこれからどんどん増えます。高経年団地を抱える自治体も、こんな返礼品を考えてはどうでしょうか。管理組合と連携して、実際には管理組合がその役割を担うことも考えられます。マンションの管理上もプラスになりますし、管理組合の収入にもつながります。
自分が育ったところ、高齢の親がお世話になっている、または、お世話になった自治体に納税することは、本来のふるさと納税の趣旨にも合いますよね。
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