台湾総統の側近たちが働いた不正が発覚し、来年1月の総統選挙で再選を目指す蔡英文氏の人気が急落しています。このスキャンダルについて、「中国勢力に仕組まれたものだとしか思えない」とするのは、台湾出身の評論家・黄文雄さん。黄さんは自身のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』に、数々のその「状況証拠」を記しています。
※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2019年7月30日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。
【台湾】蔡英文総統スキャンダルの陰に中国アリ?
蔡英文総統にスキャンダルです。蔡総統の外遊を利用し、情報機関「国家安全局」職員が、約600万台湾元(約2,000万円)相当の免税品のたばこを国内に不正に持ち込もうとした行為が摘発されました。以下、報道を一部引用します。
台湾メディアによりますと、蔡英文総統が今月、外交関係のあるカリブ海の島国を訪問した際に、随行した警護官2人が台湾に戻ってきた空港で、たばこ9,800カートンを必要な税金を払わずに持ち込もうとしたとして、汚職の疑いで逮捕されました。
総統が外国訪問から戻る時は、税関の検査が行われないVIP専用のゲートが使われていて、2人はこうした仕組みを利用したうえで、総統の荷物などを載せた車列にたばこを積んだ車両を紛れ込ませていたということです。
逮捕された警護官は、捜査当局の調べに対し、たばこの購入に関わった総統府や情報機関などに所属する50人分の名簿を提出したということで、多くの部署が関与した疑いが出ていることに波紋が広がっています。
これを受けて蔡総統は、「長年にわたり積み重ねられた陋習(ろうしゅう)の現れ」だとし、「耐え難い、受け入れられないこと」だと述べた上で、徹底的に調査するように国家安全局に要請したとのことです。
● 総統外遊利用したたばこ密輸、不正は以前からか 蔡総統「受け入れられない」
このスキャンダルは、蔡総統の側近たちによる不正です。さらにそれは長年続いていたとのこと。この「長年」とは、国民党政権時代をも含めるのかどうかは分かりませんが、総統が搭乗するチャーター機を運航したのはチャイナエアライン(中華航空)です。
チャイナエアラインといえば、国民党の私的財産のようなものです。つまり、今回のスキャンダルに関して、私にはどうも背後に国民党の影がちらついているようにしか思えないのです。
折しも、前号の「中共の差し金か。香港デモ参加者を襲撃する白Tシャツ集団の正体」で書いたように、香港のデモで当局から目をつけられた香港人が保護を求めて逃げてきた香港人の受け入れを、蔡総統は歓迎したばかりです。さらに、高雄市では、在台香港人たちが不要なヘルメットの寄付を集めたところ1,000個以上のヘルメットが集まり、台湾人の多くが香港のデモを応援しています。
そんななか、中国は4年ぶりに「新時代の中国国防」と題した「国防白書」を発表しました。その中の台湾についての記述を、報道を一部引用します。
台湾の与党、民主進歩党が「漸進的な台湾独立」を進めていると非難した上で「台湾を中国から分裂させる者がいれば、中国の軍隊は一切の代価を惜しまずに打ち砕き、国家の統一を守る」と威嚇し、台湾独立の動きに対して武力行使を辞さない姿勢を改めて表明した。
ついでに、日本についても、
防衛費の支出を増やして「戦後体制からの脱却」を試み、「軍事の外向性」が強まっていると警戒。「南シナ海の諸島や、釣魚島とその付属島嶼(沖縄県・尖閣諸島の中国側名称)は固有の領土」だと主張し「揺るぎなく国家主権と領土を守る」とした。
ちゃっかりと、沖縄までいつの間にか「中国固有の領土」にしちゃっているあたりがセコイですね。話が逸れましたが、台湾に対してはかなり強い脅しをしています。