シニア世代にこそ古武道、小唄、着物など日本の伝統を勧める訳

 

4.きものを着て生活しよう

武道をやる人は武道だけ、邦楽を習う人は邦楽だけというのが、これまでの常識だった。道楽をいくつも行えば、贅沢と思われてしまう。しかし、日本生活を体験するならば、いくつかの習い事を行うのが良いと思う。それぞれに共通する美意識や精神性が理解できるからだ。

ここまで来ると、普段の生活できものを着てほしいものだ。本来ならば、武道の稽古にも、きもので行って欲しい。きものを着て歩くだけで、所作が身につく。

ここで問題になるのが、現在のきものである。ほとんどが正絹で、手入れも畳み方も大変で。しかも高額だ。現在の男物のきものは商家の旦那のイメージ。女物は、武家の奥方をイメージしている。どちらも庶民の服装ではない。

私はできれば、身の丈にあった藍染め木綿の着物が良いと思う。汚れれば、ジャブジャブと水洗いして干しておく。破れたり、すり切れれば、継ぎを当てる。そんな生活こそ、サスティナブルな江戸の暮らしだ。

藍染め木綿で入手できなければ、デニムの着物でも良い。但し、ジーンズのような固いものではなく、柔らかい生地を選んだ方が良いと思う。畳むのが面倒ならば、着終わったら、着物用のハンガーに掛けておけばいいだろう。着物の履物は草履か下駄だが、私はサンダルやスニーカーでも良いと思う。地下足袋や地下足袋型の靴もある。

冬はヒートテックのシャツとタイツを下に履けばいいし、書生のように台襟シャツを着物の下に着ても良い。ショールやストールをグルグルと首や身体に巻き付ければ寒さにも耐えられる。それでも寒かったら、綿入れのイメージで、ダウンベストを着てしまう。

きものの良さは、着易く疲れないこと。きものが疲れるのは、固く着付けるからであり、昔の人がそんなにきちっとしていたわけがない。それでも、帯を締めれば、腰も伸びる。これもまた、日本文化の知恵だと思う。

image by: Shutterstock.com
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touroku]

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