お客さまのニーズを聞き出そうと質問を繰り返していたら、相手がどんどん引いていく…。そんな経験をお持ちの販売員さん、少なくないと思われます。できれば避けたい状況ですが、何を心がければいいのでしょうか。今回の無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』では著者で接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさんが、そのヒントを記しています。
取り調べになっていないか
「どのようなご用途でお使いですか?」
「どなたが使われますか?」
「いつ頃のご予定ですか?」
「どこでご利用されますか?」
「どの点を重視されたいですか?」
「どうして当店を選ばれましたか?」
「どういう状態が理想ですか?」
販売員は、こういった質問をお客様に投げかけます。どれもこれも、お客様に良い商品をご提案するためには、大事な質問ですよね。おそらく読者の皆様も、日頃からヒアリングの意識が高いことでしょうし、このような質問をお客様に投げかけて、ニーズを掘り下げようとされているはずです。
ただ、こうした質問自体は、とても大切なものなのですが、注意しなければいけないこともあります。尋問になっていないか、ということです。
先日から、各所でロールプレイングコンテストの審査員をさせてもらっています。レベルの高い方々が多く、とても練習や勉強をされてきたのだなと、見ていて嬉しくなりますが、その一方で、「ヒアリングをしなければ」という気持ちが強すぎて、お客様に尋問を繰り返す方がチラホラ見受けられます。冒頭で書いたような質問を繰り返して、お客様のニーズを聞き続けるのです。
ですが、これはお客様の気持ちになれば、とても辛いものだとわかります。例えていうなら、サスペンスドラマの取調室のようなものです。犯人でも何でもないのに、延々と尋問を続けられれば、お客様だって当然、疲弊してしまいます。質問責めを受けている感覚になっていき、決して楽しい買い物はできないのです。
接客におけるヒアリングとは、そういうことではありません。大事なのは、お客様との会話で、その会話の中で、自然とニーズを引き出せる質問を繰り返していくこと。それこそが、接客力であり、販売力です。
「ニーズを引き出さなきゃ」が、悪い方向に働いてしまうと、そうではない接客になり、取り調べに変わってしまいます。自然な会話をしながら、お客様のニーズを引き出すということはどういうことか。もう一度考えてみてはいかがでしょうか。
今日の質問です。
- 質問と尋問の違いは、何だと思いますか?
- お客様との会話の中で、ニーズを引き出すには、どんな接客が求められますか?
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