ルトワック、日本の最優先課題は?
ちなみに人口問題というか、「少子化問題が日本の最重要課題」と考えているのは、ジムさんだけではありません。世界一の戦略家ルトワックさんも同じ意見です。ルトワックさんは、『日本4.0』の中で、「少子化問題」を日本最大の問題の一つと位置づけています。少し引用しておきましょう。
日本は長年、少子化問題を議論しながら、人口減少という国家にとって真の危機を間近にしても、思い切った施策を打ち出そうとしていない。そもそも将来の納税者が減少すれば、近代国家は衰退するしかないのだ。
親日家のルトワックさんですが、この問題については、日本政府を強く批判しています。
もうひとつ、子どもがいなければ、安全保障の議論など何の意味もないということだ。人間の人生には限りがあり、未来は子どもの中にしかない。当然、国家の未来も子どもの中にしかなく、それを守るために安全保障が必要なのである。どんなに高度な防衛システムを完成させても、国内の子供が減り続けている国が戦争に勝てるだろうか?未来の繁栄が約束されるだろうか?
そしてルトワック氏は、少子化解決のための具体的方策も提案しています。
もし日本が本当に戦略的な施策を打ち出すのであれば、最も優先されるべきは、無償のチャイルドケアだろう。スウェーデン、フランス、イスラエルは、高い水準のチャイルドケアシステムを整備し、実際に子供が増えている。
まずは不妊治療の無料化。イスラエルはこれを100%実施している。次は出産前の妊婦が必要とする諸費用、出産費用、さらに小学校に行くまでのチャイルドケアの費用を国が負担することである。
これらの施策も「社会主義的だ!」と批判する人がいるでしょう。ルトワックさんは、「極端に保守化した人たち」を批判します。
高齢化が行き着くと、国内の雰囲気は保守化し、悲観的になる。未来のことを考えない近視眼的な思考がはびこるようになるのだ。私は日本の右派の人々に問いたい。あなたが真の愛国者かどうかは、チャイルドケアを支持するかどうかでわかる。民族主義は国旗を大事にするが、愛国者は国にとって最も大事なのが子どもたちであることを知っているのだ。
というわけで、ジム・ロジャーズさんとルトワックさん、あらゆる面で違う二人ですが、一つの点で意見が一致しています。それは、「日本最大の問題は、少子化問題だ」ということ。私もそう思います。
安倍内閣の最重要課題は、かくあるべき
「日本国の最優先課題を二つあげやがれ!」といわれたら、
- 尖閣、沖縄を中国から守ること
- 少子化問題
をあげるでしょう。
私は、ずいぶん昔に「成功する人の特徴」を見つけました。簡単な話で、成功する人は、「集中」しているのですね。たとえば、イチローさんは、小学生の頃から野球に集中していた。バフェットさんは、11歳で初めて株を買った。
日本は明治維新後、欧米列強の植民地にされないよう、「富国強兵」でがんばってきました。それで、日清、日ロ、第1次大戦で勝利できた。戦後は、「経済一本」で来て、大成功を収めました。やはり、課題が山ほどありすぎると、成功する確率が低くなります。内政に関しては、「最重要課題は、出生率を上げること」と定めて、やっていくべきです(もちろん、他の課題は全然無視していいという話ではありません)。
日本の未来を考えると、「少子化問題解決」は、憲法改正より重要です。安倍総理、出生率1.8の公約を、是非実現してください。