NYから憧れのネス湖でネッシーを探しに出かけた邦人社長旅行記

 

隣に座ったスコットランド人老夫妻が7時間半、延々話しかけてくることは予想外でした。とても品のある70代くらいのおじいさんとおばあさんは、ニューヨークに観光しに来た帰りなのだとか。機内ずーっと、ニューヨークの悪口を聞かされました(笑)。せわしなくって、いそがしすぎる。人の歩く速さが速すぎる。街中いつも騒音ね、などなど。

ケラケラ笑って聞くしかなく、しかも、ひととおりの悪口のあとに、必ず、品のよい感じで「あら、ごめんなさいね、ニューヨークに住んでいる人に、こんなこと。どうぞ、聞き流してね」といちいち謝罪も丁寧につけてきます(笑)。で、次の瞬間には、地下鉄の匂いに耐えられない。建物が高すぎて目が回る。しゃべる人の声の音量が大きすぎる。などなど…、と別のクレームの話題に移ります。

なのに、どうして、旅行先にニューヨークを選ばれたんですか?そう聞くと、息子が今回ニューヨークに転勤になったから、仕方なくなの。と説明してくれました。そして、実は息子の嫁が日本人だということ、その嫁が北海道出身だということも教えてくれました。あなたHOKKAIDO行ったことある?そう聞かれたので、残念ながら、と答えると、ニューヨークまで来て、暮らして、バケーションでスコットランドまで行くのに、母国の北海道には行ったことないの!?と驚かれました。

そう、僕は世界100都市以上に行ってるにも関わらず、母国ニッポンは実は、どこにも行ったことがないんです。南は中学の修学旅行で九州行ったきり、沖縄もない。北に至っては、東京が最北端。北海道どころか東北すら行ったこともない。日本国内旅行は老後の楽しみにとってます、と笑うと「北海道には今すぐ行くべきね。ニューヨークより、そして私たちのホームタウンのエディンバラより、ずっとずっと綺麗なところなんだから」と、まるで自分のホームタウンのように、嫁の地元を誇らしげに語ってくれました。日本人の僕に。

まさかニューヨークーエディンバラ行きの飛行機の中で、スコットランド人のおばあちゃんに北海道の良さをコンコンと説明されるとは。でも、なぜか、やっぱり、嬉しくなります。今の地元のニューヨークを散々、ディスられて。行ったこともないのに、同じ日本ってだけで北海道をベタ誉めされて。そこで嬉しくなる。どこまで行っても、やはり、自分は「日本人」なんだと思います。

あと、これ、本当にどうでもいい話なんだけど。アメリカの旅客機に乗った際に、必ず出される「SNACK」と書かれた、ぱっさパサの無味無臭のプレッツエル。これ、美味しいと思う人間がこの世の中に存在するのだろうか。食べるたびに「おまえ、マジか!?」と心の中で、当のプレッツエルにつっこんでる。おまえ自身は、本当に、それでいいのか!?と。おまえの存在理由はなんなんだ!?と。

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