トランプ「米ファースト」がG7で受け入れられなかった当然の理由

 

理想的な状況であれば

トランプさんが、戦略的な大統領であれば、状況はかなり違ったことでしょう。アメリカは、中国と覇権戦争を戦っている。アメリカ大統領の目的は、「G7国を米中覇権戦争で味方につけること」であるはずです。そのためには、

  • 日本との貿易対立を止める
  • 欧州との貿易対立を止める
  • イラン問題を解決する

ことなどが不可欠です。しかし、トランプさんは、中国と戦いながら、同時に、イランとも欧州とも日本とも戦っている。それで、求心力がどんどん低下している。

アメリカが、「タンカー防衛有志連合つくろうぜ!」とよびかけても、イギリスやオーストラリアなどしか応じない。ほとんどすべての国がよびかけを無視している。アメリカが、「ロシアを復帰させてG8に戻そうぜ!」とよびかけても、公然と支持するのはイタリアだけ。

こうなるであろうこと、トランプさんが大統領になる前からわかっていました。たとえば2016年4月5日「トランプ大統領誕生なら米国は覇権国家から転落する」という記事を書いています。また2017年6月27日には「米国の没落が急加速!『アメリカファースト』政策の大失敗」という記事を書きました。

アメリカが笛吹けど踊らず状態になったのは、トランプさんの責任です。日本を叩き、欧州を叩き、イランを叩き、そのうえで、「俺のいうことを聞け!」といっても、普通聞かないですね。

それでも「スリーピー・バイデン」よりはマシ

こんなトランプさんですが、民主党の最有力候補バイデンさんよりはマシです。

バイデン氏は演説で、副大統領や上院外交委員長として世界各国の指導者と会ってきた経験を誇示した上で「中国がわれわれをやっつけるって?いいかげんにしてくれ。彼らは体制内の腐敗にどう対処したらいいのかさえ分かっていないんだ」と述べ、米国と対等に渡り合える国とはみなしていないことを強調。一方で「悪い人たちではない」とも述べた。
(産経新聞 2019年5月3日)

バイデンさん、アメリカは5G技術でファーウェイにかなわないこととか知らないのでしょう。バイデンさんが大統領になれば、いつの間にか中国が覇権国家になっていそうで恐ろしいです。アメリカも、なんというか「人材不足」ですね。とりあえず、トランプさんにはがんばってほしいと思います。

image by: 首相官邸 - Home | Facebook

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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