キリンビール「本麒麟」大ヒットの秘密に学ぶ、企業文化の変え方

 

ヒットを生めなくなる企業文化

このような市場の中、キリンビールでは、第3のビール「本麒麟」を大ヒットさせました。最近のビール(系飲料含む)には珍しく、ブランドのメインカラーは赤

「本麒麟」というブランド名も、自社のフラッグシップ(旗艦)ブランドを示しているようです。まるで、以前資生堂が社運をかけて自社のイメージの花である、椿からとったシャンプーの「TSUBAKI」のようです。

一番重要なのは、ビールなのでもちろん「味」です。赤い缶とネーミングのイメージもあいまって、本格的なビールの味に近い、と感じて、なかなか美味しいので、私も好きでよく飲みます。

このヒットを仕掛けたのが、4年前に、プロクター&ギャンブル(P&G)社から入社した、山形さんという常務執行役員の方だそうです。記事によると、山形氏が入社した時、社内には、「ヒット商品が欲しいあまり、新商品を乱発することで、売り上げを上げようとした傾向」があったそうです。

ちなみに、この場合の新商品というのは、「XXビール ライト」などの既存のヒット商品のサブ・ブランドだったり、期間限定、季節限定、地域限定などといった、長期的視野でブランドを育てる視点とは異なる商品だと推測できます。

そこで、山形氏がとった行動は、短期的視野での開発ではなく、商品開発に一貫性のある戦略立案を求めたそうです。たとえば、製品そのものに関して、ビールは飲料なので、中心になるのは、ビールそのものの味です。その味を「本格的なもの」に近づけようとしたそうです。

また、パッケージのデザインに関して、伝説の生き物である麒麟のデザインを使うことに、反対する社員の意見が多かったそうです。しかし、山形氏は、「多くの消費者が長年飲み続けるブランドの要素」としての麒麟のデザインが必要で、育てていくべきだ、と主張しました。

山形氏は、このように、自社のこれまでの成功や業界の常識ではなく、お客さま目線で本麒麟を開発し、市場導入させ、ヒットに結びつけたと言えます。

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