キリンビール「本麒麟」大ヒットの秘密に学ぶ、企業文化の変え方

 

本麒麟のヒットは何によって生まれたのか?

では、本麒麟のヒットを生んだ要因は何だったのでしょうか?まずは、先述の山形氏のリーダーシップによる、組織を動かしての一連の製品開発と市場導入にあります。

歴史のある会社の企業文化としては、「なにも大きな冒険をしなくていいんじゃないですか」と、チャレンジ精神がだんだんとなくなり、事なかれ主義になりがちです。

私も会社員時代に経験したことがあるのですが、どうしても企業の図体が大きくなると、お客さま本位というよりも、「うちの会社ありき」の企業風土になることが多々あります。いわゆる大企業病と言うやつですね。

お客様への新しい価値を生む「イノベーション」は、画期的なアイディアが出発点になります。この画期的なアイディアを出せなくなる大きな要因は、企業が組織として「思考停止」に陥るからです。考えが前に進まなくなってしまうのです。

組織を思考停止に陥らせる、2つの罠があります。1つは、「こうに決まっている」という“固定観念”、もう1つは「うちの会社はこれで成功してきたから!」という、“過去の成功体験”です。

特に、組織の中の上長である課長や部長が、新人たちの、過去に例がない、奇抜なアイディアを受け入れることなく、「そんなのダメに決まっている」、「うちではやったことがない」と、バッサリ切り捨てるようなことになると、若い社員たちは萎縮し、アイディアを口に出すことさえも嫌になってしまいます。会社や事業の規模が大きくなったり、軌道に乗り、手を打たないでいると発生する「大企業病」です。

キリンビールでは、磯崎社長、山形氏は、こういった社内の問題点を、「根本から変える」「構造そのものを変える」という大きな外科手術のような改革をとりました。これくらいやらないと、変わらない、ということですよね。

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