憧れのネス湖でNY在住日本人社長が出会ったモンスターは「人間」

 

エアコンもWiFiもまともなシャワーもない部屋に戻ってもしょうがないので、タクシーでとなり村の「ネッシーランド」や「エキジビションセンター」に行こうと思いつきました。「タクシー呼んでもらえない」そうお願いすると、露骨にめんどくさそうに受話器をとって3コール目くらいで、切って「留守みたい」と前述のおじさん。

さすがに「もうちょっとねばってよ。3コールくらいしか鳴らしてないじゃん」というと、今度は露骨にめんどくさそうなため息までついて、仕方なさそうにまた電話をしてくれます。コールしている間、死んだような目でこっちを見つめてくる。こっちも死にそうな目でそらさない。数十秒の無言の中、かすかに聞こえるコール音。お互い目を見つめたまま。留守番電話に切り替わる音声がその静寂を切り裂きました。「ね、留守でしょ」なぜか勝ち誇ったように、冷戦を終わらせるように、彼は言い放ち、席を立ってどこかに行ってしまいました。

この時点で、やることが、なくなりました。お店もない。WiFiもない。とりあえず、中世っぽい時代の衣装を着たおばあさんの不気味な自画像が飾られている自分のコテージに戻ります。また丘をふたつ超え。

窓からネス湖を眺めます。とりあえず何の変哲もない湖だけど、これがあのネス湖だと思えば、飽きずにずっとは見ていられる。そして、そのまま寝てしまいました。夜の10時に目が覚め、そのまま窓を眺めているうちに、今回の旅の目的を思い出します。

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40代で鬱になる中年が世界的に続出しているのだとか。ひょっとして自分もそれか?と思い始めたのは、今年の頭くらい。ここまで来れたのは、運がよかったから。そろそろメッキが剥がれてくる。ネッシー見れたら、まだ「モッテル」だろ、「イケル」だろ。

なんでスコットランドの海獣とラックが関係あるのか、自分でもまったく説明できませんが(笑)見れたら、たぶん、まだ“ツイテル”(と思い込む)。そのための旅でした。

PM10:00相変わらず、ネッシーは姿を見せてくれません。なんで、ここまで、出てきてほしいと思ってんだオレ(笑)。首だけでも、ちょこっと出してくれないかなと、切に願う。AM1:00まだ姿を現してくれない。もう水鳥でも、木の枝でもいいから「それっぽいの」で、「見た!見た!まちがいない!」って言い張ってやろう。いつもの強引な営業トークで。

今まで運だけでやってこれたようなもの。そろそろ世間にもバレ始めてくるんだろうな。それが怖いのか。でも、失って怖いくらいのものを所有しているわけじゃない。ただの新聞屋だろう。

AM4:00うっすら明るくなってきて。水面ピクリとも動かねえんでやんのwおだやか~。AM6:00子供の頃から憧れた湖の朝は想像よりずっと綺麗でした。結局、ネッシーは一切、姿を見せてくれませんでした。

スコットランドのど田舎で、リセットできて(ネス湖がなけりゃ、絶対来てないわっ)いままで「幸運」だったけど、「偶然」ではなかったとは思えてる。

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