まだまだ昭和の発想。夫が受給するには厳しい遺族年金という制度

 

その後、60歳の定年後に失業手当を8ヵ月貰う事になった。失業手当を貰うと年金が止まるという事を聞いていたが、遺族年金は失業手当を貰う事による停止はしないので失業手当と同時に貰っていい。ちなみに年金貰いながら働くと年金が停止されるというのも、遺族年金には適用されない。あくまで停止というのは老齢厚生年金の場合(失業手当は65歳前の分が全額停止)。遺族年金はそういう制限を受けないので、給付額が少ないけれどその点のメリットがある。更に非課税年金だからですね。

さて、この夫は生年月日を見ると64歳(令和6年4月の翌月)から自分の老齢厚生年金が支給される人。

  • 64歳時老齢厚生年金→48万円×7.125÷1,000×240ヵ月+57万円×5.481÷1,000×204ヵ月=820,800円+637,331円=1,458,131円月額121,510円

ここで夫に支給されていた遺族厚生年金308,306円は老齢厚生年金とは同時に受給できずに、どちらか有利なほうを選択受給となる。まあ…老齢のほうが多いからこっちを貰いますよね。年間108万円以上だから税金対象となったり、社会保険料にも影響するのでその点は気を付けておく必要はある。

65歳になると夫に老齢基礎年金が支給開始となる。差額加算はこの記事では少額なので省きます。

  • 老齢基礎年金→780,100円÷480ヵ月×444ヵ月=721,592円

さらに遺族厚生年金と老齢厚生年金は併給可能とはなるが、この場合は遺族厚生年金が老齢厚生年金を超え当た場合のみ支給されるから、この夫には遺族厚生年金が出る時が無い。よって、65歳以降の夫の年金総額は

  • 老齢厚生年金1,458,131円+老齢基礎年金721,592円=2,179,723円月額181,643円

※追記

65歳以上の人は年間158万円以上の年金を受けれると所得税が源泉徴収される。参考にいくらかかるか計算。

2ヶ月分の年金で計算すると、年金は363,286円。まず基礎控除を算出

  • 363,286円×25%+65,000円×2ヵ月=220,822円(基礎控除)

ただし、基礎控除の最低額月135,000円×2ヵ月=27万円なので、27万円が基礎控除。よって

  • 年金2ヶ月分363,286円-基礎控除27万円-寡夫控除22,500円×2ヵ月=48,286円(課税所得)

65歳からは原則として年金から天引きとなる社会保険料も社会保険料控除となりますが、省いています。

年金支払い期に源泉徴収される所得税は48,286円×5.105%=2,465円

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佐賀県出身。1979年生まれ。佐賀大学経済学部卒業。民間企業に勤務しながら、2009年社会保険労務士試験合格。
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