文在寅政権の「南北統一思考」の先に見えるバラ色とは真逆の未来

 

ベトナムにも似たような問題があります。南ベトナム政府を倒し、米国を追い出した北ベトナム側が、解放された南ベトナム側を、あたかも米国に代わる支配者のような顔で統治しているのです。 南ベトナム側では、3層の支配階級が一般国民の上に存在しています。1番上は、北ベトナムから来ているベトナム共産党の指導部、2番目がベトナム共産党の南ベトナム出身の幹部、そして3番目が南ベトナム解放民族戦線(ベトコン)として命がけで戦った南ベトナム人です。それぞれの勢力の力関係によって統治の構造も決まるということですね。 そこで南北朝鮮ですが、北朝鮮が韓国を支配するとか、韓国が北朝鮮を飲み込むという一般論では済まない問題を抱えています。 それは朝鮮戦争で同じ民族が殺し合ったという記憶が生きているからです。南北統一を喜ぶ人々がいる一方、このさい親兄弟の仇をとってやろうという人々もあまた存在しています。韓国側には拉致被害者の家族が何万人もいます。いざ統一となっても、いつ殺し合いが始まるかわかったものではありません。くすぶり続ける火種です。下手をすると、再び南北分断の悲劇が待っているかもしれないのです。 ドイツやベトナムと比べ、朝鮮半島の統一の先に見えるのはバラ色の景色ではなく、もしかしたら「地獄」かもしれないことも、隣国日本としては視野に収めておく必要があると思います。(小川和久)

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地方新聞記者、週刊誌記者などを経て、日本初の軍事アナリストとして独立。国家安全保障に関する官邸機能強化会議議員、、内閣官房危機管理研究会主査などを歴任。一流ビジネスマンとして世界を相手に勝とうとすれば、メルマガが扱っている分野は外せない。

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