トヨタは国内市場を25%も落としている
企業が内部留保金を増やし過ぎれば、自分の首を絞めるということについては、トヨタなどがいい例です。
現在、トヨタは日本企業で最大の20兆円にも及ぶ内部留保金を持っています。その一方で、トヨタはバブル崩壊以降、従業員の賃金をケチりにケチってきました。特に2000年代は、史上最高収益を連発していたにもかかわらず、ベースアップをほとんどしませんでした。トヨタは、日本のリーディングカンパニーです。トヨタが賃金をケチれば、それは日本中の企業に波及します。バブル崩壊以降の日本企業はトヨタを追随し、業績がよくてもベースアップをほとんどしないというケースが続出しました。
その結果、日本経済はどうなったでしょうか?消費は冷え込み、日本の国内市場は急激に縮小したのです。
平成2年にはトヨタの国内自動車販売は200万台を超えていました。が、現在は150万台前後です。平成の間に、実に国内市場が25%も縮小しているわけです。
そしてトヨタは、国内市場が縮小するばかりなので、必然的に海外に販路を求めなければならなくなりました。しかし、海外で商売をするというのは、非常にリスクが大きいものです。トヨタの現在の主な販売先はアメリカです。が、アメリカが日本車の進出を快く思っていないことは、周知のとおりです。アメリカは何かにつけて日本車に厳しくあたります。トヨタも何度も巨額の罰金を科せられました。エアバックのタカタなどは、不自然な事故の責任を押し付けられ、経営破たんしてしまいました。もし、日本経済が今の状況を変えないならば、日本経済全体がタカタのようになるかもしれません。
日本の景気の悪循環
通常の景気循環というのは次のようになっています。
「企業の利益が増える」
↓
「企業が従業員の給料をきちんと払う」
↓
「国民の消費が増える」
↓
「企業の利益が増える」
しかし、日本の場合は、次のようになっているのです。
「企業の利益が増える」
↓
「企業は従業員の給料をけちる」
↓
「国民の消費が落ち込み国内市場が縮小」
↓
「企業は無理して輸出を増やそうとする」
↓
「ますます賃金が減りさらに国内市場が縮小」
この日本の陥っている悪循環の原因は単純です。「企業がお金を貯め込みすぎ」「企業が給料をケチりすぎ」なのです。これを改善すれば、この悪循環は解消するわけです。日本の大企業の経営陣の方々、ぜひこの単純な事実に気づいていただきたいものです。今の日本企業は欧米並みに賃金を上げるくらいの体力は十二分に持っているのです。(メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』より一部抜粋)
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※本記事は有料メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』2019年9月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。
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