東京五輪は大丈夫か。千葉大停電で被災者たちが率直に感じた不安

2019.09.18
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takano20190917
 

9日午前5時前に千葉市付近に上陸し、大きな被害をもたらした台風15号。1週間以上がたった現在でも千葉県では複数の自治体で停電が続き、完全復旧からは程遠い状況となっています。なぜここまで被害は広がってしまったのでしょうか。そして被災された方々はどのような生活を強いられているのでしょうか。房総半島南部の鴨川市にお住まいのジャーナリスト・高野孟さんが自身のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』でその状況を報告するとともに、東京電力の責任についても厳しく指弾しています。

※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2019年9月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

半ば人災としての千葉県大停電──これで来年の五輪は大丈夫なのか?

台風15号が引き起こした千葉県の大停電は、当初は最大93万戸、発生から6日を経た15日未明現在でもなお15万戸に及んでおり、とりわけ私自身が居住する鴨川市を含む房総半島南部の安房地域では、復旧にまだこれから2週間程度かかると言われる絶望的な状況にある。

東日本大震災の際には我が家は当初13時間連続の停電で、灯りがない、空調暖房が止まる、テレビが点かず何が起きたのか分からない、冷蔵庫が止まる、揚水ポンプが動かないので水が出ない……等々に直面したが、それでもまだ寒い時期で、暖房を薪ストーブに頼り、調理台は幸いにしてプロパンガスなので煮炊きをすることができて、何とか復旧までの時間を乗り越えることができた。しかし、今回は、ここ2~3日多少とも和らいでいるとはいえ、残暑厳しい時節であり、冷房が効かないのが何より辛く、少し動くと汗だくになるが水が出ないのでシャワーを浴びることもできない。固定電話はもちろん携帯も光回線や無線ネットも遮断されたままで、家族や知人と連絡をとることもできず、東京までの高速バスの運行状況を確かめる術もない。その状況がすでに150時間も続くという、まことに過酷な自宅避難民状態である。

「想定外」は今や弁解にすぎない

台風そのものはもちろん誰のせいでもない天災で、風速60メートルという暴風の強烈さも、それが房総半島西側の東京湾岸に沿って北上し千葉市付近に上陸するというコースの異常さも、「想定外」だったと言うしかないのかもしれない。

しかし、8年前に3・11を体験した後では「想定外はもはや死語化したのではなかったのか。その後も西日本を度々襲う集中豪雨、昨秋に関西圏を中心に電柱が1,000本以上も倒れ240万戸を停電させた台風21号など、恐らくは地球温暖化による気候変動の影響だろう今までの常識では考えられないような大災害が次々に起きているし、さらに首都圏直下型地震や東海・南海巨大地震などもいつ起きてもおかしくないと言われている。こうなると国や自治体、電力会社はもちろんのこと、我々個人のレベルまでも、「Think Unthinkable(考えられないことまで考える)」の思考法を徹底して、生き残り策を講じなければならないのだろう。

それには想像力の拡張が必要で、今回はたまたま房総半島西岸を通過したけれども、もしこの台風が少し西にずれて、三浦半島の相模湾岸から横浜・川崎・東京を通過したらどんなことになっていたのか。日本経済新聞13日付「春秋」欄が「数十キロずれただけで東京は大打撃を受け、電気も水も途絶えていたかもしれない。……今度の被災地が千葉だったのは偶然にすぎない。地球温暖化の影響で、台風が強大化しやすくなっているという。今回のケースは想定外だったとの釈明も聞こえる。それにしてもこの対応の遅さは台風と闘ってきた国にあるまじきことだ」と述べているのは至当である。

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