東京五輪は大丈夫か。千葉大停電で被災者たちが率直に感じた不安

 

誰も助けには来ない

私自身が体験しあるいは見聞した限りでは、ガソリン駆動の小型発電機でテレビと冷蔵庫には通電できているという人や、車載インバーターで冷蔵庫だけは守ったという人がいたが、我が家にはその備えがないのでテレビは観られず、冷蔵庫の中身は全部捨てた。

また我が家にはロウソクやそれと同じ程度の明るさのLEDランプ、手持ちの懐中電灯、野外用のヘッドランプなどはあるが、それらは家の内外を動くのに躓かないようにするくらいしか役に立たない。途中からコールマンのキャンプ用の大型ランタンを友人が運び込んでくれたので使い始めると、ホワイトガソリンを気化して点す白光が煌々と輝いて新聞でも何でも読めてしまう。ちょっと待てば停電が治るというのであれば懐中電灯でもいいのだが、このように長期になるとそれを頼りに生活するための本格的な光源が必要なのだと痛感した。

近所の方がしみじみと語ったのは「国も県も市も東電も誰も助けに来てくれないということが今回、身に沁みて分かった。自分を守るのは自分だと思って、あらゆる災害に備えなければならない」ということである。

それともう1つ、被災した近所の方々の何人もが口にしたことは、「東京五輪の期間にこういう災害が東京を襲わないと誰が保証できるのか。どうして台風名物の国がその季節に五輪など誘致したのだろうか」ということだった。それはもう今さら言ってどうしようもなく、皆でお祈りするほかない。

image by: 陸上自衛隊 東部方面隊 - Home | Facebook

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早稲田大学文学部卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。現在は半農半ジャーナリストとしてとして活動中。メルマガを読めば日本の置かれている立場が一目瞭然、今なすべきことが見えてくる。

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