世界的エンジニアが提言、私がIT担当相になったら手掛ける3つの事

 

もう一つ大切なことは、官民の癒着を断ち切るために、天下りの禁止を徹底する上に、監督官庁の元官僚を役員や顧問として抱える企業が、国の事業の競争入札には参加できないような仕組みを作ることが必要です。

しかし、現在は法律を書いているのが官僚なので、どんな法律も中抜きにされてしまいます。そこで、今後の法律に関しては、全て国会議員が民間の法律の専門家を雇って法律を書かせる議員立法」に切り替える必要があると思います。

国の将来に関して言えば、もっとも大切なことは教育なので、ここでも大きな改革が必要だと思います。プログラミング教育は悪くないと思いますが、算数・数学の授業を減らしてプログラミング教育をしても意味がないので、まずは全体のバランスとして「理数系の授業を増やす」ところから始めなければならないし、高校に入ってから「文系・理系に別れるという悪い慣習も(何らかの方法で)撤廃すべきだと思います。

特にこれから単純な頭脳労働までもが機械に置き換えられる世界では、全ての学科で優秀な成績を収めることが出来る優等生よりも、一つのことに熱い情熱を持っていたり優れたクリエイティビティを持つ人が重要なので、そんな才能を持つ子供達が、これまでのような受験勉強に押しつぶされるに伸び伸びと好きなことに時間を費やすことが出来る教育環境を作ることが大切だし、そんな子供達たちの価値を正しく評価し、大学でさらに伸ばすようなシステムを作ることが大切です。

また、米国と比べて「ぬるま湯」としか言いようのない大学の形も大きく変え、今のように「入学するのは難しいけれども卒業するのは簡単」な体制から、「思いっきり勉強しないと卒業できない」体制に変えるべきだと思います。

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※ 本記事は有料メルマガ『週刊 Life is beautiful』2019年9月17日号の一部抜粋です。

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