世界的エンジニアが提言、私がIT担当相になったら手掛ける3つの事

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第4次安倍改造内閣でIT担当大臣として初入閣を果たした竹中直一衆院議員ですが、78歳という年齢もさることながら、ITとは無縁ともいえるその経歴も不安視される一因となっています。今回のメルマガ『週刊 Life is beautiful』では著者で世界的エンジニアでもある中島聡さんが、国の未来よりも自民党内の事情を優先したこの人事を批判するとともに、仮に自分がIT担当相となった場合に手掛ける3つの政策を記しています。

※ 本記事は有料メルマガ『週刊 Life is beautiful』2019年9月17日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール中島聡なかじまさとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

日本のIT戦略

先週、安倍政権の組閣が発表されましたが、経済の要であるIT担当大臣に78歳の竹本直一氏が選ばれたことを問題視する声が上がっています(「78歳竹本氏初入閣、IT分野に不安の声も実績強調」)。

年齢も問題ですが、京大法学部から建設省に入所というITと程遠い経歴を持つ人物をIT担当大臣に選んでいる点で、国の未来よりも自民党内の事情の方が優先させたことが明確な人事です。

Marc Andreessenが2011年に「Why Software Is Eating The World」が指摘した通りの世の中になっている今、IT担当大臣には、ITベンチャーを経営したことのある民間人を採用すべきなのは当然のことです。

そこで「もし私がIT担当大臣だったら何をするか」を考えてみたいと思います。大枠で言えば、以下の3点に尽きます。

  1. 「国家vs.グローバルIT企業」戦争の戦い方
  2. 企業の新陳代謝の加速
  3. STEM教育

まず第一に、GAFAに代表される外資系グローバル企業が、その大きさを利用して中小ベンチャー企業のチャンスを奪っていないかという、独禁法的な観点からの規制および監視を厳しくします

現在、グローバル企業がM&A(買収や合併)をする際には、米国・EU・中国政府が独禁法の観点から厳しく審査し、場合によってはM&A阻止に走りますが、世界第3位のGNPを持つ日本政府もそのプロセスに絡むべきです。

さらに、実際のビジネスにおいても、独占的・寡占的な立場を利用した不当な行為を行なっていないかをしっかりと監視し、不当な行為には厳罰を与える強い態度が必要です。

グローバル企業対策としてもう一つ大切なことは、それら外資系グローバル企業からの税金の徴収です。これに関しては、EUが先行しているので、彼らと協力し、「グローバル企業と言えども、日本で稼いだ分は日本で税金を支払ってもらう」仕組み(税制)をしっかりと作ることが大切です。

また、忘れていけないのは、プライバシーの問題です。特にFacebookとGoogleは、大量に集めた個人情報をベースに商売をしている会社であり、これに関して、国家は「国民のプライバシーを守る」という観点と「健全なメディア環境を維持する」という両面から、彼らの行動をしっかりと監視する必要があります。

一方、国内に目を向けると、国際競争力を失ったゾンビ企業に優秀な人材がしがみついていることが大きな問題だと考えています。そのためには、「競争力を失った企業にはさっさと市場から消えてもらう」「人材の流通を促しベンチャー企業が優秀な人を採用しやすくする」ことが大切だと考えます。

また、小泉改革以来生じてしまった「大学を卒業した時に正社員の職を得ることが出来た人(正社員)とそうでない人(派遣社員・フリーター)」という社会の二重構造にもメスを入れる必要があります。

その意味でも、雇用規制の撤廃は必須だと私は考えます。つまり、「正社員であろうと、会社の都合でいつでも誰でも解雇できる」ように法律を改正することにより、正規雇用と非正規雇用の壁を撤廃するのです。この改革に関しては、(正社員で構成されている)労働組合が猛反対をするでしょうから、簡単ではないと思いますが、これをしない限りは、日本企業の競争力は落ちるばかりです。

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