超がつく一流大学の卒業者、非の打ち所のない経歴、難関資格ホルダー…。「こんな人たちは引く手あまたなんだろうな」と考えがちですが、世の中そう甘くはないようです。今回の無料メルマガ『サラリーマンで年収1000万円を目指せ。』では著者の佐藤しょ~おんさんが、中途採用の現場で感じた「企業の求める人材像」についてわかりやすく解説しています。
良い経験と悪い経験
キャリア採用(中途採用)をやっていると、煌びやかな経歴を持っている人に出逢うことがあります。学歴は言うに及ばず、今までの会社も、そこでやって来た仕事も、その成果も、どれかひとつあるだけで、充分に評価されるよねというトラックレコードを持っている人に、年に一人くらいはお会いしたモノです。
ところがこういう人を採用したことはありません。というか、ほとんどは書類審査で落としますね。
そりゃオマエが高卒だからコンプレックスを持ってるんだろう?って考えたらダメですよ。私のコンプレックス(実は全くコンプレックスに思っていませんが)と、会社という組織が達成すべきゴールとでは、どうやっても後者の方が重要なんですから、本当に良い人なら採用するに決まってるでしょ。
本当に良い人なら…問題はここなんですよ。
非の打ち所の無いトラックレコードを持っているということは、まさに非の打ち所が無いんだから、これは最優秀ってことになる…わけがないところが、社会の面白いところなんです。
その経歴や実績が事実であって、全然盛っていないモノだとしても、
■ だからこそ、そういう人は採用しない
のですよ。経歴が素晴らしすぎるから、あえて採用しないのです。
どうしてかというと、
▼ 努力して力を付けて
▼ 頑張って成果を出して
▼ 身に付けた知恵や才覚を使って業績を上げた
からこそ、人生に於いて良い経験ばかりをしているから、
▼ 挫折した時に立ち上がれなかったり
▼ 失敗した人の気持ちが分からなかったり
▼ 成果が出ない人に優しくなれなかったり
するんですよ。出来て当たり前、やるのが当然、なんでやらないの、どうしてもっと頑張らないのと考えて良いのは、その人がまだジュニアで下っ端の頃なんですよ。人の上に立つような立場になったら、それだけじゃダメなんです。出来ること、やれることが基準になっている人が、責任者になるとギスギスした組織になるんですよ。
人間って、人生ってバランスが取れるモノですから、良かった経験と同じボリュームで悪い経験もするはずなんですね。その両方を経験するから、丸い人間になれるわけです。ところが学校も一流、会社も一流、成果も資格も一流となると、釣り合いが取れないわけです。
ってことは、確率的にウチの会社に入ってから、釣り合いが取れるようなネガティブな経験をするかも知れないじゃないですか。そしてそんな人は、そんな負の体験を乗り越えられないんですよ。だって負けたり、裏切られたり、悔しい思いをしたり、ウソつかれたり、死にたくなったりしたことが無いんですから。そこを乗り越えられるかどうか分からないじゃないですか。
よしんば、そういうネガティブなことが無くても、挫折を知らない人が組織をまとめるのって、非常に胆力が要るモノでして、こういう経歴を持っている人の10人に一人いるかいないかなんですよね。それはそれでリスクを背負うわけです。
だから大きく成功したいのなら、大きく失敗した経験も持たなきゃダメだと思うんですよ。死にたくなるような経験も、悔しくて泣いてしまった経験も、あの野郎殺してやるって経験も持っているべきなんですよ。
そういう経験が無いと、正しいとは、努力とは、成果とは、喜びとは、チームとは、ありがたいとは、という大きな価値観が薄っぺらになるんですよね。
だから優秀なだけの人間には興味は無いんです。
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