家族や友人との気楽な会話は楽しいものですが、ビジネス上のメールとなれば、同じような「くだけた話し言葉」を使うというわけにはいきません。とはいえ、意識して丁寧な言葉を探してみても、付け焼刃ではなかなか上手く行かないのも事実です。今回の無料メルマガ『神垣あゆみメールマガジン』では、普段使っている話し言葉を、より好ましい「改まった言い方」に言い換える工夫を紹介しています。
改まった言い方 「すごい」の言い換え
程度がはなはだしいことを「すごい」と言います。「すごいおいしかった」とか「すごいいい人」のように会話で使うことが多いです。
「すごい」自体は形容詞なので「すごいおいしい」とか「すごいいい」は形容詞+形容詞となるため、副詞「すごく」を使い「すごくおいしい」「すごく良い」とするのが適切です。ただ、会話では上記のように「すごい」が副詞的に使われることが多くなっています。
では「すごい」「すごく」の改まった言い方はというと……、「大変」「非常に」「とても」「誠に」が挙げられます。書き言葉でもよく使われる表現です。
「すごいおいしかった」は目上の相手には「とてもおいしゅうございました」に。「すごいいい人」は、「いい人」を具体的な言葉に変換して「大変温厚な方です」のようにすると、より伝わりやすくなります。
話し言葉にくだけた表現を使うことが多いのは、直接対話するため相手との距離が近く、言葉以外に表情や身振り手振りで補えるからです。
しかし、書き言葉では文字だけで伝達するため感情を伝えるのにも言葉の選び方や表現を工夫するしかありません。話し言葉と同じ調子で言葉を省いたり、くだけた表現を使ったりすると本意が伝わらず、誤解を招くこともあります。
少なくとも、仕事でやりとりするメールでは「書き言葉」にスイッチを切り替え改まった言い回しを意識して使うほうが相手に失礼にならず、好印象を与えます。
改まった言い方 「ちょっと」の言い換え
量や度合いが少ないことを「ちょっと」「ちょこっと」「少し」と言いますが、改まった言い方では「わずか」「ささやか」「いささか」とします。「ほんのちょっとですが」は「わずかですが」とか「ささやかですが」に。
会話でも「ちょっとお待ちください」を「少々お待ちください」と言い換えると丁寧さが増します。
誘いを断るときに「予定があるのでちょっと……」と最後まで言わずに「ちょっと」で言葉を濁してうやむやにするケースがありますが、そのようなときは
「あいにく予定があり、参加できません」
「残念ながら、今回は不参加とさせてください」
のように、きちんと断りを入れるほうが好ましいです。
「少しでもお役に立てれば」と伝えたいときは「いささか」を使って「いささかなりともお役に立つのでしたら」とします。また、「いささか」を打ち消した「いささかならず」という言葉もあります。少しでない、つまり、とてもという意味で「面倒をかけるばかりで、いささかならず気が引けます」のように用います。
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