ただし、ゾーンの確率を高める事は出来そうです。まず大前提があって、ワクワクする事です。これまでゾーンに近い状態を経験したアスリートの話を聞く限り、その目標に向かっていく際に気持ちが非常にポジティブになっているのが共通点です。
目標というのは必ずしも楽しい事とは限りません。予選を通過して決勝に残ることが目標だとすると、予選を落ちたらどうしようとか、ネガティブな気持ちが起こる事も珍しくありません。
応援の声は力になりますが、期待を裏切ったらどうしようというような後ろ向きな気持ちが生まれる事もままあります。ゾーンに向かう時は、その目標のハードルが高くても低くても、いずれにしてもワクワクした気持ちが必要です。
問題はどうしたら、目指すべき目標に向けてワクワクした気持ちになれるかです。ここで一つのヒントは、言霊(ことだま)です。どういった言葉は吐くかです。
私達は言葉を話すようになってから、ずっと自分の言葉を聞き続けてきています。色々な人に影響を受けたりしますが、実は自分の言葉に一番影響をされているのかもしれません。ところが、多くの場合、どうしてもネガティブな言葉の方が多いのです。
それは私達を取り巻く環境に理由があるかもしれません。テレビでも雑誌でも多くのニュースがネガティブだからです。これ自体はニュースとしてやむを得ないのですが、そういった情報の中に身を置けば当然に、ネガティブな発想になりがちですし、下手をすればネガティブな情報にワクワクするような事も起きてしまいます。芸能人のスキャンダルに関心が高いのは、その一例といってもいいかもしれません。
せめて、自分が日常的に発する言葉をポジティブにすることで、小さな出来事にもワクワクする癖みたいなものがついていきます。
例えば雨が降っている時に何て言うかです。無理矢理でもポジティブな言葉を発する癖をつけてみると少しずつ変わっていく自分に気が付くはずです。
最初はきごちなくても、使い続けることで自分用のポジティブワードが幾つか定着してくるのです。私は朝起きた時、TwitterとFacebookに、「さぁ今日もいってみよう~」と書き込みをします。気が乗らない日も、体調がすぐれない日も、ルーティンのようにそれだけは書いています。これも一日の始まりに、自分に向けてのポジティブワードなのです。
もう一つのヒントはリズムです。これはボクシングの八重樫選手からのヒントなのですが、彼が試合の中でゾーンに入る時はリズムに乗った時であって、逆に相手のリズムでは決してゾーンは訪れないというのです。これも比較的応用しやすいかもしれません。
例えば朝起きてから家を出るまでの一連の作業をどれだけスムースにテンポよく進められるかとか、まさに計画と実行のギャップが少ない状態を作れるかです。
私の例で言いますと、出張の際に東京から兵庫県の自宅に帰るにあたって、在来線、新幹線、在来線、バスと乗り継ぎますが、これがスムースに予定通りピッタリと行った時は疲労感が明らかに少ないのです。これはゾーンとはまったく別モノではありますが、この流れの延長線上にゾーンに近いような集中力と高揚感があるような気がします。
自分なりのポジティブワードを探す事と、リズムを作って物事に向かう事は試してみる価値がありそうです。
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