ただ自分にとって、この種の非売品欲求が如何に強いかということを物語るエピソードを最後に二つほど紹介したい。
昔、何かの用事でバイク屋にふと立ち寄った時にたまたまある店内看板に目が行った。それには「ただ今ご成約の方にもれなく高級ツールボックスプレゼント!」とあった。それが如何にもかっこいい。有名バイクメーカーと高級ツールメーカーのオリジナル・コラボ商品でどうにもこうにも欲しくてたまらなくなった。いよいよバイクを買うより他なしと覚悟を決めた時、自分の一番お気に入りのカラーのツールボックスだけが国内品切れと言う。それで一気に欲しい熱が冷め、事なきを得た。
それから数年後、車のディーラーでまた同じような経験をした。その時はある車の狭いラゲージスペースにピッタリ納まるキャリングケースセットであった。大小いくつかのケース類が本当に寸分違わずピッタリ納まるのである。これもいよいよかという時、右ハンドル仕様がないということが分かり、残念ながら、というより幸いにも買わずに済んだ。
車やバイクは恐ろしい。誰でも買えるからだ。後は毎月恐ろしいペースで貯金が減って行くだけのことである。それを思うと、ハンカチやタオルハンカチの類はかわいいもんである。やはり自分にはこのくらいの「無駄金使い」と「無駄気ぃ遣い」でちょうどいいようである。
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