倒れた電柱2000本。疲弊した日本のインフラが「次の危機」を招く

2019.10.31
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takano20191030
 

立て続けに上陸した台風により停電や断水などに見舞われ、ここに来て社会的インフラの脆弱性を露呈することとなってしまった日本列島。世界に名だたる先進国として歩んできた我が国で、なぜこのような事態が起きてしまったのでしょうか。自身も千葉県で台風の被害に遭われたジャーナリスト・高野孟さんは今回、メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』でその原因を分析するとともに、安倍政権が掲げる国土強靱化政策に対して、「戦略の体をなしていない」と厳しく批判しています。

※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2019年10月28日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

戦後日本は来年「後期高齢者」入りだという自覚の欠如──社会の基盤となるインフラの全般的危機

台風15号で私自身が体験し見聞した暴風災害については、すでに9月の本誌で2度書いているが、さらに10月に入って台風19号の豪雨災害、さらにそれを遙かに上回る10月25日の超豪雨も折り重なり、「房総は災害が少ない」のを自慢にしていた村の長老たちも面子丸つぶれの異常事態。これらを通じて次第に明らかになってきたのは、単に房総が大変で私が苦労したとかいう局所的なことではなく、日本社会の基盤を支えるインフラが全般的に劣化しているというのにその修復・補強・置換についての総合的な戦略が不在で、国民生活の安全性が内側から脅かされつつあるという深刻な現実である。本号転載の日刊ゲンダイでもそのことを書いていて、いささかしつこいかもしれないが同コラムはスペースが狭いので本文で補足的なデータを盛り込んでいくことにした。

天災もさることながら人災の面が主

こういうことが起きる度に「天災か人災か」ということが言われるけれども、余り意味のあることではない

地球温暖化で近海の海面温度が上昇して日本列島の生理が変わってしまい、天候の亜熱帯化が進行していることそれ自体は自然現象だけれども、19~20世紀を通じて人類が何の考えもなしに石炭や石油を好き放題に燃やしてそれが豊かさの徴だと妄想してきたことがその根本原因であるとすれば、それもまた人災ということになる。

結局、人間は自分勝手と言うか、目先の幸せや利益しか考えないもので、自分の日常の行いが後々までどういう影響を残し、孫の世代には何を押しつけることになってしまうのかという「想像力」は、なかなか働かない。

それでもまあ地球温暖化、あるいはこれから起こりうる首都圏直下型や東海・南海トラフの大地震、浅間山や富士山の噴火などは、一応天災に分類するとして、さてそれにいよいよ耐えられなくなっている社会的なインフラの劣化、それを薄々知っていながら正面切ってそれを立て直そうとしない政治・行政の怠慢とは、疑いもなく人災」そのものである。

北朝鮮のミサイル実験がどうしたとか言っている場合ではない。それは、将来は来るかもしれない潜在的脅威の1つではあるけれども、すでに顕在化している日本の最大の安全保障上の現実的な危機は、戦後75年、高度成長期から数えても50年を超えつつあるすべての社会的インフラが、ことごとく、劣化プロセスに突入していてこの気候変動に到底耐えられないということである。

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