倒れた電柱2000本。疲弊した日本のインフラが「次の危機」を招く

2019.10.31
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2,000本もの電柱が倒れてしまった

インフラ劣化の象徴が電柱である。最大瞬間風速57.5メートルを記録した台風15号では、千葉県山中の2つの鉄塔と道路沿いの電柱2,000本が倒れ、最大93万戸が停電した。昨年9月の台風21号では近畿地方で約1,300本が倒れ、最大240万戸が停電した。今回、我が家でも15号で10日間、19号で3日間に及ぶ大停電を体験したが、なぜこんなことが起きるのかの理由は簡単で、

  1. そもそも鉄塔も電柱も、旧経産省令で風速40メートルに耐える設計になっていて、60メートル近い風に耐えられないのは当たり前
  2. しかもその耐用年限は40年だが、全国で3,600万本、東電管内だけで600万本あるという電柱のほとんどは1970年代に集中的に立てられていて、40年を超えて50年に達するものも出始めている。全国に25万基ある鉄塔も同様で老朽化が進んでいる
  3. なのに「原発事故で経営が苦しくなった東電は送電設備への投資を抑え、1991年に9,000億だった送配電設備への投資は15年には約2,000億円」(9月12日付日経)
  4. カネだけでなくヒトも3・11後は一貫して減らしていて、16年度に1万9,367人だった東電社員は18年度には約3,000人減って1万6,398人になり、またそれに伴って、地域にあって復旧の拠点となる支社の数も45から35に減らしている。特に地域の事情を知り尽くしたベテラン営業社員がいなくなりつつあることが大きい

この3.については東電の言い分があって、91年に9,000億円というのは電柱の新設と維持を合わせた額で、新設が少なくなった分が減っているだけで、維持のための約1,500億円はそんなに減っていないという。それにしても、今回のこの壊れ方を見れば、適正な維持・管理が行われているとは到底思えない

この深刻な状況の解決策としては、

  1. 根本的にはオフグリッド化、すなわち広域的な電力供給ネットワークの廃止、もしくはそれから離脱してエネルギーの地産地消、自給自足を実現することである
  2. それが実現しない間、無電柱化を進める。東電は、1キロメートル当たり4~5億円の建設コストがかかり、また事故の場合に全部を掘り返さなければならないのでそのコストも計り知れないと難色を示しているが、大都市中心部などでは本格的な地下施設の工事が必要だろうが、もっと簡便なやり方も研究されているようだし、事故がそもそも極めて起こりにくいことが内外で実証済み。ロンドン、パリ、香港、台北、シンガポールの都市部では無電柱化率100%であるのに対し、日本は17年度末で1.25%という超後進国ぶりをこのまま放置していいはずがない
  3. それもなかなか進まない中では、各個人、家庭、事業所がかなり強力な非常用電源を準備すること。多くの方の体験談によると、余り小型のものは役に立たず、家庭用では1.5~1.8kVA、オフィス・店舗では最低でも2.6~2.8kVAの出力が必要で、数十万円の投資となるしそれと蓄電池を組み合わせれば50万円程度に達する。「買っても滅多に使わないだろうなあ」と思ってしまいがちだが、これからはそんなことは言っていられない。使わなくて倉庫に眠ったままになるなら幸せだと考えなければならない
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