小売店からすればメーカーとの間に入ってくれる問屋さんは大切なものです。しかし、メーカーが直接店舗を構える「中抜き」も多い今、問屋の存在意義がなくなってきています。今回の無料メルマガ『がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ!』では経営コンサルタントの梅本泰則さんが、これからの問屋の役割を提案しています。
問屋の役割の変化
「近ごろ、問屋さんの営業マンがあまり店に来なくなった」というお店がありました。どうして営業マンが来なくなったのでしょう。
そのお店は、決して業績が悪いわけではありません。話を聞いてみると「売れる商品を持ってきてくれない」とか、「商売の役に立つ話をしてくれない」といったグチが出てきます。
どうもこのお店にとって、問屋さんは「売れそうな商品」や「安く売れる商品」を紹介してくれる存在のようです。おそらく、このお店は問屋さんにいつも「何か売れる商品はないか」とばかり要求しているのでしょう。
そうなると、問屋さんの営業マンは「商品」のことばかりに目や頭が行ってしまいます。ところが、最近の問屋さんからは「売れる商品」がなかなか手に入らなくなっているのです。
理由があります。それは、主だったメーカーさんは、問屋さんに余分な在庫を待たせることを避けているからです。市場に商品がだぶつかないように、ということでしょう。だぶつくことで、価格の乱れにつながりますからね。
また、売れる商品があっても、メーカーさんは、納める小売店さんを制限しているようです。これも、市場在庫やブランドのコントロール策なのでしょう。しかも、メーカーさん自身が店舗を構えて、直接消費者に商品を販売しています。いわゆる「中抜き」ということですね。
こうしたことによって、中間流通として在庫コントロールをしていた問屋さんの存在意義が減ってきてしまっているのが最近の傾向です。ですから、問屋さんの営業マンも小売店さんに行かなくなってしまっているのでしょう。困ったことですね。
問屋さんの戦略
実は、今のスポーツ用品業界はメーカーさんが力を持っていると言っていいです。その証拠に、スポーツ用品メーカー出荷額は、2008年に1.3兆円だったものが2018年には1.53兆円と18%ほど伸びています(出所:矢野経済研究所)。
一方、主力6社の問屋さんの売上を見ますと、2008年の1,324憶円に対し、2018年は1,343憶円と、わずか1.5%の伸びです(出所:日経MJ)。これを見ても、問屋さんが苦しんでいることが分かります。
とはいえ、それぞれの問屋さんが、いろいろな戦略を打っています。ファッションショップ、ディスカウントストア、ホームセンター、ドラッグストアなど現状のルート以外に販路を増やす戦略もその一つです。
しかし、それはスポーツショップにとってはたいして良い影響を及ぼすことではありません。スポーツショップが問屋さんに求める戦略は、スポーツショップのためになるものです。そんな戦略があるのでしょうか。
そこで、私のアイデアをお伝えします。まず、問屋さんは「商品」だけを見る姿勢を変えることです。そして、「マーケティング」に目を向けることです。
マーケティングとは「誰に、何を、どうやって」提供するかを考えることでした。それに沿って考えていきましょう。最初に「誰に」からです。







