首都圏ではすでに流行が始まっているインフルエンザですが、そのワクチン接種に関しては様々な議論があり、打たないという選択肢を取る方も多く存在します。しかし、ワクチンは「社会全体を守るためのもの」であるとするのは、現役科学者のくられさん。くられさんは自身の無料メルマガ『アリエナイ科学メルマ』で今回、データを示しつつ「ワクチンを接種すべき理由」を記しています。
ワクチンを打つべきなのはどうしてか?
インフルエンザのシーズンですね。インフルエンザのワクチン受けましたか?
特にどこかの寒い中並ぶ神社やコミケのような大人数のイベントに行く人は必ず受けましょう。いや、帰省する人でさえ受けておくべきです。
インフルエンザワクチンに限っては、受けたからといって必ずインフルエンザにかからなくなる…というわけではありませんが、それでも受けるべき理由があります。
まず、重症化する危険性と死亡率がぐっと下がることで、この時点でメリットはゼロではないわけですが、実は個人のそういう都合だけでなく、実は一番重要なのが、ワクチンというものは「社会全体を守るためのものである」ということ。この認識が極めて大事なのです。
それというのも、例えばインフルエンザワクチンは卵アレルギーの人や乳幼児には打つことができません。卵アレルギーの人や乳幼児はインフルエンザウイルスに晒されると当然ワクチン未接種の人より感染率は高くなります。乳幼児の場合はそれが生涯残る脳の後遺症などになることさえあります。
感染…というのがピンとこない人が多いと思うので実際に流行マップをみてみましょう。
このURLは2017~2018年のインフルエンザの流行分布です。
まず最初に新潟でインフルエンザがありますね。本来ならば陸続きで感染は広がりそうなものですから、新潟の次は隣の富山か山形、群馬…という感じですが、実際は宮崎県にいきなり発生しています。
新潟と宮崎を移動する人というのは極めて限られると思うので、おそらく一人二人の罹患者が飛行機で宮崎県にピンポイントでウイルスを運んだことを示してると思ってもよいでしょう。もちろん厳密に調べたわけではないので偶発的な可能性はありますが。
そしてあとは人の流れのまま一度広がりだしたインフルエンザウイルスは瞬く間に日本中を真っ赤に染めていきます。
なので、「別に打っても打たなくてもかかるし、お金もかかるから俺はいいや」みたいな感じで、打たずに罹患して、それをワクチンが打てない人に感染させてしまうリスクの部分がヤバいのです。
インフルエンザはワクチンで100%押さえ込める病気ではないので、ワクチンが万能とは言えないのですが、それでも毎年200~300人の乳幼児が重い後遺症(体が不自由になるなど)になるインフルエンザ脳症になっています。もしかしたらその中の何人か、何十人かは、誰かがワクチンを打っていればなってなかったかもしれないわけです。
それがインフルエンザなら運否天賦の部分もありますが、麻疹(はしか)だと別次元です。今、ワクチンの効能で忘れられるくらいに撲滅に成功していたヤバい病気、麻疹がこの国にまた広がりつつあるわけです。しかも反ワクチンとかいう病原体の味方まで湧いてきて非常によろしくないですね。
麻疹(はしか)に関しては免疫をリセットするというとんでもない副作用が最近発見されています。つまり他のワクチンやなんとか持ちこたえた病気に対する免疫情報を白紙に戻すというにわかには信じられないとんでもない能力です。
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