「F35は『第5世代』と呼ばれる戦闘機だ。レーダーに映りにくく、敵に気づかれにくいステルス性に優れているうえ、周囲の情報を集めて瞬時に操縦士に示すことができる。専用ヘルメットには、機体を透かして周囲360度を見通すことができるディスプレーも装備されている」(同朝日新聞)
と企業などの説明通りの記述に終始しています。日本の安全保障に重大な影響を及ぼす米国の戦略的動向について、F35という「道具」の問題に矮小化してしまっている点は、大いに気になるところです。
ちゃんと取材していれば、こんな「誤報」は避けられました。しかし、取材相手の防衛官僚、自衛隊高級幹部、研究者の誰もが、そこまで関わっておらず、F35導入の全体像を知っていないのに、それを「F35導入劇を知る専門家」として扱い、通り一遍の話を聞き、要領よく記事にまとめている。
このような取材姿勢は、権威筋の情報を垂れ流すことにつながりやすい点で、国家権力や企業に都合良く使われやすく、歴史をねじ曲げるものとさえ言えます。ジャーナリズムの劣化を加速させるものだと憂慮せざるをえません。
突っ込みたい点はほかにもありますが、今回はこのくらいにしておきます。S記者の健筆を祈ります。(小川和久)
image by: Photo By: Staff Sgt. Madelyn Brown
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