大阪の底力。街中の「きっちゃてん」が潰れない当然の理由

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大阪の中高年世代の生活に欠かせないもののひとつと言えば、「きっちゃてん」とも呼ばれる地域に根づいた喫茶店。チェーン店とはまったく別の世界に存在しているというこうした店舗は、なぜ安定収入を上げ続けることができるのでしょうか。今回、無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』の著者で繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが、その謎の検証を試みています。

大阪の“きっちゃてん(喫茶店)”が、チェーン店に負けない理由

大阪の喫茶店は、時に“きっちゃてん”と呼ばれています。昔の日本ではそう呼ぶ人も多かったのですが、いまでは大阪ぐらいでしか聞かない呼び方です。

なぜ“きっちゃてん”と言うのかは定かではありません。これは推測ですが、大阪人独特の“イチビリ”で、そう言っているだけではないでしょうか。“イチビリ”とは、関西弁で「ふざける」「調子に乗る」または「そういう人」のことです。深い意味もなく、少しでも笑いを取ろうとする、大阪人根性の表れではないでしょうか。

その“きっちゃてん”は、大阪人にとって非常に大切な存在となっています。特に中高年以上の人にとっては、生活の一部として、なくてはならないものなのです。

朝起きると簡単に身支度をして、“きっちゃてん”へ。モーニングを食べるためです。岐阜や愛知ほどではありませんが、大阪では昔からモーニングが安く、習慣として根づいています。

昼は昼食のために利用します。“きっちゃてん”は、軽食メニューが充実しています。決してカフェのようなものはありませんが、大阪らしい食事が用意されています。ホットケーキやナポリタン、カレーライス、オムライスなど、喫茶店の基本メニューをはじめ、これでもかというほどボリュームがあるサンドイッチ、ご飯と麺類を組み合わせた焼きそば定食やお好み焼き定食、日替わりランチなどもあります。喫茶店が食堂にもなっているのです。

3時頃になると、休憩タイム。「ホットおくれ!」「レーコおくれ!」「ミーコおくれ!」「レスカおくれ!」と、注文しながら席に着きます。それぞれ、「ホットコーヒー」「アイスコーヒー(冷コーヒー)」「ミルクコーヒー」「レモンスカッシュ」なのですが、これも大阪独特の言い方で、いかに“きっちゃてん”が、生活に溶け込んでいるかがわかります。

また、大阪の喫茶店には必ずと言ってもいいほど、ミックスジュースがあります。これもイチビって、「ミックチュジューチュ」と言ったりして、大阪人の愛する飲み物です。

夜はアルコールを置いて、飲み屋になります。マスターやママの得意料理を出し、ファンがついています。

大阪以外の人からすれば、非常にディープで入りづらい雰囲気でしょう。大阪人であっても、周辺地域の人でなければ気後れしてしまいます。それほど、地域の人びととの繋がりが強いのです。常連客とその常連客が連れて来る人だけで、商売が成り立っていると言っても良いでしょう。お客さま同士も顔見知りが多いのです。

通り掛かりに「ちょっとお茶でも……」と、立ち寄ることのできるお店ではありません。同じ“喫茶”という商売であっても、スターバックスやドトールといったチェーン店とはまったく違う商売をしているようです。

チェーン店の増加で、“きっちゃてん”は多少減少したものの、まだまだ健在です。特に中高年以上の常連さんを多く抱え込んでいるので、大きな儲けにはなりませんが、安定した収入を得て長年営業を続けているのです。

チェーン店とは違う世界に存在しているのです。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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