タワマン水没で露呈した、武蔵小杉と二子玉川の「致命的な弱点」

2019.12.12
 

停電したタワマン2棟は、いずれも当該マンホールのすぐ近くである。大量に噴き出した下水が、より低い場所に流れた結果、地下の電気設備が浸水して停電した。停電により、部屋の電気、エレベーターに加えて、ポンプで操作していた上下水道も使えなくなった

部屋は懐中電灯やろうそくで灯し、通勤・通学、買物には高層階から一段一段階段を昇降して1階まで往復。トイレは各階ゴミ置場に設置された簡易トイレを使う生活を余儀なくされた。しばらくタワマンに住めなくなり、近くのホテルや近隣に親類・縁者がいる人はそちらに身を寄せていた人も多いと聞く。

共用スペースの掲示板には、なるべくトイレは使わないようにと板書されていたが、がまんできなくなった住民がついつい使用して、飲み水用に買い込んだペットボトルに入ったミネラルウォーターで水を流す行為もあったようだ。

そうなると、水量が足りないので地下まで流れ切れず、下層階の洗面所やトイレから異臭が漂うトラブルも発生したらしい。真偽は不明だが、ネット上の住民掲示板では、上層階の居住者と下層階の居住者が、トイレの使用を巡って激しい口調で言い争う、醜悪な光景も見受けられた。

中原消防署前付近の48階建「パークシティ武蔵小杉ステーションフォレストタワー」は、下水が逆噴射したマンホール至近に地下駐車場に至るスロープがあり、水がもろに地下駐車場に流入し溜まったと考えられる。

パークシティ武蔵小杉

パークシティ武蔵小杉

パークシティ武蔵小杉ステーションフォレストタワーと駐車場出入口

パークシティ武蔵小杉ステーションフォレストタワーと駐車場出入口

企画・販売した三井不動産によれば、既に仮復旧ではあるが電気が復旧し、電気、水、エレベーターも動いて、生活には支障のない状況になっている。

パークシティ武蔵小杉ステーションフォレストタワーの仮復旧用の電源

パークシティ武蔵小杉ステーションフォレストタワーの仮復旧用の電源

50%程度の復旧という報道もあるが、件の交差点では懸命に電気工事が行われているので、完全復旧への見通しが立っている

パークシティ武蔵小杉ステーションフォレストタワー前の中原消防署前交差点は、電気工事中

パークシティ武蔵小杉ステーションフォレストタワー前の中原消防署前交差点は、電気工事中

一方、フォレストタワーから綱島街道を挟んだ向かいにある「リッチモンドホテル プレミア武蔵小杉」では、1階エントランスの一部が浸水。床面設置の照明器具を交換した程度の軽微な影響が出た程度だった。すぐ隣にあるような建物で、かくも被害が違うのか。ホテル業者の立地を見る確かさにも感心させられた。

リッチモンドホテルは、パークシティ武蔵小杉ステーションフォレストタワーの道向かいにありながら、被害は極めて軽微だった

リッチモンドホテルは、パークシティ武蔵小杉ステーションフォレストタワーの道向かいにありながら、被害は極めて軽微だった

横須賀線口バスターミナルと横須賀線の線路に面した22階建「シティハウス武蔵小杉」は、バスターミナルの中でも土地が低い場所にあり、マンホールから噴出した水などが流入したと考えられる。

シティハウス武蔵小杉の電気設備は修理工事中

シティハウス武蔵小杉の電気設備は修理工事中

横須賀線口の改札口が水没して使えなくなっていたのも、改札がスロープの下にあったからだ。

武蔵小杉駅の横須賀線口改札の浸水被害(JR線の張り紙より)

武蔵小杉駅の横須賀線口改札の浸水被害(JR線の張り紙より)

10月14日、閉鎖されていた同駅の横須賀線口

10月14日、閉鎖されていた同駅の横須賀線口

10月14日、閉鎖の張り紙に見入る人たち

10月14日、閉鎖の張り紙に見入る人たち

シティハウスを企画・販売した住友不動産によれば、このマンションも10月20日頃に電源は復旧しており、住民の生活は元に戻っているとのことだ。

シティハウス1階に入居するコンビニ、デイリーヤマザキでは店内が水没し、1ヶ月ほどの休業を余儀なくされた。しかし、内装を全部やりなおして、以前よりきれいになった状態で現在は再開している。

シティハウス武蔵小杉1階にあるデイリーヤマザキ。1ヶ月くらい休業していた

シティハウス武蔵小杉1階にあるデイリーヤマザキ。1ヶ月くらい休業していた

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