謎の死を遂げた人も。中国の収容所から続々と届く「悲痛な叫び」

 

2012年、アメリカのハロウィーンの飾りからは、遼寧省・馬三家の労働教養所に収容されている孫毅さんからの手紙が出てきました。その内容は、「この商品を購入したあなた様へ、この手紙を世界人権団体にお渡し頂けませんか。中国共産党政権の迫害を受けているここの数千人は永遠にあなたに感謝いたします…」というものでした。

止まらぬ良心の囚人への拷問 – 中国収容施設からのSOSレター 差出人が拷問の実態明かす

孫毅さんは、このニュースをきっかけに顔と名前がメディアにさらされたためか、その後インドネシアに逃れた後、謎の死を遂げたそうです。

【産経抄】9月20日

最後にご紹介するのは、文字によるメッセージではなく、モノによるメッセージです。

アメリカの人気ファストファッションブランド「ZARAで購入したワンピースに、ネズミの死骸が縫い込まれていたそうです。その商品を購入した女性は、そのワンピースを着用したことによって広範囲におよぶ湿疹を患ったということです。

ZARAのワンピースにネズミの死骸が混入

このネズミ事件は、中国の製造工場で働いている人が抗議のために混入させたのではないかとの憶測を呼びました。

冒頭の、イギリス人ジャーナリストであるピーター・ハンフリーさんは、自分が中国の刑務所に収監されていた罪状に対して、全く心当たりがないと言っています。謎の死を遂げた孫毅さんは、法輪功のメンバーだったという理由で収監されました。

中国では、こうした人権侵害が日常的に行われています。以前このメルマガでご紹介したウイグル人問題もそのひとつです。北海道大学の教授が中国で拘束されたことも、最近では話題になりました。彼は幸運にも解放されましたが、日本人は不用心で騙されやすいというイメージがあります。そして、中国での人権侵害は中国が共産党に牛耳られている間は解決しません。くれぐれもお気をつけ下さい。

年末になると、このようなクリスマスカードをはじめ、中華世界の牢屋に収容され迫害された人々の話が外に漏れてきます。かつてはソルジェニーツインがソ連で収容され迫害されたことを記した『収容所群島』や、台湾の『台湾監獄島』という本もありました。

儒教国家と社会主義体制は、「全体主義」が理想ですから、異見や異論を絶対に許さないイデオロギーがあります。私も小中学生の頃は、「密告」を義務づけられ多様性は絶対に許されない社会でした。牢屋は、そうした社会が悪と判断した「犯人」たちで溢れていました。私はそうした人々から牢屋での話を聞く機会が何度かありました。彼らによると、毎日かわるがわる拷問されて、親族でさえ誰か分からなくなるほど顔が腫れ上がるそうです。

万里の長城の壁で囲まれ閉じ込められている中華世界は、私からみたら大きな牢屋です。そこに収容されている人々は、「中華思想」の人だけです。ウイグル人やチベット人は「洗脳(マインドコントロール)」する必要があるので、さらに狭い牢屋に入れられるわけです。

彼らはそこで、いかにして「中国人」になるかについて叩きこまれます。孫文がよく説いていた「同化政策です。中華数千年の歴史の中で、いわゆる少数民族の存在は「同化力」の問題として中華文明の永遠なる課題です。

中国は「世俗国家」であり、昔から「宗教は人民のアヘン」だと考えられていたため、様々な宗教が迫害されてきました。仏教に対する迫害は「三武一宗の法難」として知られています。

キリスト教徒に対する闘いは「義和団事変(北清事変)」が有名です。イスラム教徒に対する「皆殺し」は、現在まで数十年続いている「洗回」運動と呼ばれています。中国のムスリム集団は中国語で「回族」と呼ばれ、「洗回」はムスリム集団殲滅の意味です。

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